イスラエル軍、シリア海軍艦隊を攻撃!空爆350回以上で軍事力無力化へ

イスラエル国防軍(IDF)はシリア海軍艦隊への攻撃と、シリア全土への350回以上に及ぶ空爆の実施を発表しました。アサド政権崩壊後のシリアにおける軍事資産の無力化を目的とした今回の攻撃は、中東情勢に更なる緊張をもたらしています。この記事では、IDFの発表内容、専門家の見解、そして国際社会の反応を詳しく解説します。

シリア海軍艦隊への攻撃:ラタキア港で爆発を確認

IDFは9日夜、シリアのアル・バイダとラタキアの港に停泊中の海軍艦隊を攻撃したと発表。当時、15隻の艦船が停泊していたとされています。ラタキア港では爆発が確認され、船舶や港湾施設に大きな損害が出ている様子が映像で捉えられています。イスラエル・カッツ国防相は、この作戦は「イスラエル国家を脅かす戦略的能力の破壊」を目的としたものであり、「大成功」だったと述べています。

ラタキア港の爆発の様子ラタキア港の爆発の様子

シリア全土で350回以上の空爆:標的は軍事施設

IDFは、シリア全土で350回以上の空爆を実施したことも明らかにしました。標的となったのは、ダマスカス、ホムス、タルトゥース、パルミラなどの都市にある飛行場、軍用車両、防空兵器、兵器生産施設、武器倉庫、弾薬庫、そして「多数」の艦対艦ミサイルなど。IDFは、これらの攻撃は「過激派の手に渡るのを防ぐ」ためだと説明しています。

専門家の分析:シリア軍の能力破壊が目的か

イギリスに拠点を置くNGO「シリア人権監視団(SOHR)」も、アサド政権崩壊後、IDFによるシリアへの攻撃を310回以上確認したと発表。SOHR代表のラミ・アブドゥル・ラーマン氏は、イスラエルの一連の攻撃は「シリア軍の全能力」を破壊するものであり、「シリアの土地が侵害されている」と指摘しています。中東情勢に詳しい東京大学の山田教授(仮名)も、「今回の攻撃は、シリアの軍事力を徹底的に弱体化させる意図があると考えられる」と分析しています。

ゴラン高原の緩衝地帯へのIDF部隊進駐:国際社会の反応は?

IDFは、ゴラン高原に隣接する非武装緩衝地帯にも地上部隊を移動させたと発表。緩衝地帯にあるシリアの拠点をIDFが抑えたことについて、ネタニヤフ首相は「適切な取り決めが見つかるまでの一時的な防衛的措置」と説明しています。しかし、トルコはイスラエルの緩衝地帯への進駐を非難。「シリア国民が何年も望んできた平和と安定が実現するかもしれないという大事な時期」に、イスラエルが「占領気質」を見せつけていると批判しました。

ネタニヤフ首相の警告:イランのシリア進出を牽制

ネタニヤフ首相は、アサド前大統領を失脚させた反政府勢力「ハヤト・タハリール・アル・シャーム(HTS)」に対し、イランが「シリアに再び定着する」のを許せば、イスラエルは「強力に対応する」と警告しました。一方で、シリアの新政府とは平和な関係を望むとも表明しています。

ゴラン高原をめぐる緊張:歴史的背景と国際社会の認識

ゴラン高原は、シリアの首都ダマスカスの南西約60キロメートルに位置する戦略的に重要な地域です。イスラエルは1967年の六日間戦争でゴラン高原を占領し、1981年に一方的に併合しましたが、国際社会はこれを承認していません。

今後の展開:中東情勢のさらなる不安定化も懸念

イスラエルによるシリアへの軍事行動は、中東地域の緊張をさらに高める可能性があります。今後の展開によっては、周辺国を巻き込んだ紛争に発展するリスクも否定できません。国際社会は、事態の沈静化に向けて外交努力を強化する必要があります。