警察や軍関係、暴力団組織などの内部事情に詳しい人物、通称・ブラックテリア氏が、関係者の証言から得た情報をもとに、SNSを利用しない層を狙った新たな詐欺の手口「セレブ詐欺」について警鐘を鳴らす。近年増加しているSNSやマッチングアプリを利用した「ロマンス詐欺」とは異なる、高齢者などをターゲットにしたこの詐欺の手口とは一体どのようなものなのだろうか。
ロマンス詐欺は、SNSやマッチングアプリを通じて知り合い、一度も会うことなく恋愛感情や親近感を抱かせた上で金銭などを騙し取る特殊詐欺の一種として知られている。警察庁の「SOS47 特殊詐欺対策ページ」でもその危険性が指摘されており、著名人が集結したプロジェクトチーム「SOS47(ストップ・オレオレ詐欺47~家族の絆作戦~)」が全国で被害防止を呼びかけている。プロジェクトチームには、国家公安委員会委員長から特別防犯対策監に委嘱された杉良太郎氏や、警察庁生活安全局長より特別防犯支援官に委嘱された伍代夏子氏、コロッケ氏らが参加している。
かつて恋愛感情や結婚願望を利用した詐欺といえば、実際に会って交際するふりをする結婚詐欺が主流だった。しかし現在では、相手に会えない「ロマンス詐欺」が中心となっている。その手口は多様化しており、「将来のために金が必要」「結婚資金を貯めるため投資で増やそう」といった古典的なものに加え、「会いに行く旅費を送金して」「送った荷物の送料を払って」など、何かと理由をつけて送金を要求するのが一般的だ。相手が海外にいる外国人や、外国人を装う「国際ロマンス詐欺」も急増しており、2025年1月にはAI生成画像で米俳優ブラッド・ピット氏になりすました詐欺師が、フランス人女性から約1億3300万円を騙し取った事例も発生している。この女性は1年半もの間、ブラッド・ピット氏と交際していると信じ込まされていたという。
これらの一般的なロマンス詐欺は、結婚願望や独り身であることに付け込み、日頃からスマートフォンを使いSNSでやり取りをすることに慣れている人々を主に狙っている。そのため、いまだにガラケーを使用している人や、スマートフォンを持っていてもSNSでのコミュニケーションが苦手な高齢者は、従来のロマンス詐欺の主な標的からは外れやすい傾向があった。
しかし、そのようなSNSを積極的に利用しない、特に年配者の恋愛感情や性的欲求を悪用する新たな詐欺手口が存在するという。それが「セレブ詐欺」だ。セレブ詐欺では、女医や経営者、芸能関係者など、社会的地位や財産があるように装う人物がターゲットに接触してくる。対面での接触を含む場合もあり、従来の「会えない」ロマンス詐欺とは異なるアプローチを取ることもあるのが特徴だ。SNSを使わない層、特にデジタルデバイドの影響を受けやすい高齢者が狙われるケースが増えており、注意が必要とされている。
女医などセレブになりすまし高齢者を騙すイメージ
SNSやインターネットに不慣れな高齢者などを狙う「セレブ詐欺」は、ロマンス詐欺の新たな進化形とも言えるだろう。騙しの手口は巧妙化しており、自身の両親や祖父母など、身近にいるSNSをあまり利用しない年配者が、こうした新たな特殊詐欺の被害に遭わないよう、家族や周囲の注意深い見守りが一層重要になっている。