【iRONNA発】障害者対策 「仏つくって魂入れず」の日本 山田肇氏


山田肇氏

 障害のある「れいわ新選組」の2人が参院議員に当選し、障害者対策のあり方をめぐる議論が活発化している。だが、すでに日本は国連の障害者権利条約を批准し、これに沿う「障害者差別解消法」も整備済みのはずだ。同法が名ばかりと指摘される実態とは。

 そもそも、わが国は2006年に国連で採択された障害者権利条約を批准し、障害者に関わる法体系を整備してきた。それなのに現状は「仏つくって魂入れず」の典型である。

 障害者権利条約は世界約160カ国が署名している障害者に関する人権条約だ。第29条は「政治的及び公的活動への参加」で、選挙人(有権者)と被選挙人としての権利を定める。ポイントは「締約国は、障害者に対して政治的権利を保障し、及び他の者との平等を基礎としてこの権利を享受する機会を保障する」である。

 さらに、障害者権利条約の批准にあたって制定された国内法の一つである、障害者差別解消法は第7条で「行政機関等は、その事務又は事業を行うに当たり、障害を理由として障害者でない者と不当な差別的取扱いをすることにより、障害者の権利利益を侵害してはならない」と定めている。

 ◆現状は付け焼き刃

 「障害があるのに立候補して当選したのだから、当選後の活動が円滑に進むように手当てするのは障害を持つ議員の責任である」とは、これらの国際法と国内法からは読み取れない。障害者権利条約の根本は、障害者の社会参加への障壁を除去するのは社会の側の責任というもので、それは国内法にも引き継がれている。

 しかし、すべてが社会の側の責任といわれても躊躇(ちゅうちょ)するかもしれない。そこで、条約も国内法も「合理的な範囲での配慮を求める」となっている。莫大(ばくだい)な費用がかかる場合や、せっかく配慮しても利用される可能性がほとんどない場合を除くためだ。

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