兵庫県斎藤元彦知事のパワハラ疑惑に関する内部調査の結果が11日に発表されました。亡くなった元県幹部職員からの内部通報を受け実施された調査でしたが、県は「強く叱責されたと認識する職員はいたものの、パワハラの確証は得られなかった」と結論づけました。贈答品受領疑惑についても、知事の対応に問題はなかったとされています。
内部調査結果と専門家の見解の乖離
今回の調査結果は、県議会調査特別委員会(百条委員会)による職員アンケートの結果と大きく異なっています。百条委員会のアンケートでは、斎藤知事のパワハラを見聞きしたことがあると回答した職員が全体の約42%に上っていました。この discrepancy について、公益通報制度に詳しい淑徳大学の日野勝吾教授は「職員アンケートの結果を踏まえると、内部調査の結論には違和感がある。兵庫県は公益通報者保護法の法定指針に違反している状態が続いていると認識している」と指摘しています。
兵庫県知事の定例記者会見の様子
公益通報と懲戒処分の問題点
元県幹部職員は今年3月、報道機関や県議らに告発文書を配布し、4月には公益通報窓口にも同様の内容を送付しました。しかし県は、内部調査の結果を待たずに5月に男性を停職3カ月の懲戒処分としています。日野教授は、この県の対応について「懲戒処分を優先させたのは、公益通報案件ではなく人事案件として処理したためだ。内部通報の調査結果を待った上で処分を判断すべきだった」と批判しています。さらに、「今回の調査で、通報内容が虚偽や単なる憶測ではないことが明らかになった。この結果を踏まえれば、通報に対する不利益処分はできなかったのではないか」とも述べています。
今後の調査の行方
告発文書の真偽については、百条委員会が調査を進めており、来年2月に最終報告書が発表される予定です。また、県が設置した第三者委員会も今年度中に報告書をまとめる予定となっています。今後の調査によって、パワハラ疑惑の真相が明らかになることが期待されます。公益通報制度の観点からも、透明性が高く公正な調査が求められています。
兵庫県知事のパワハラ疑惑は、地方自治体のガバナンス、そして公益通報制度の在り方に関わる重要な問題です。今後の調査の進展、そして県の対応に注目が集まります。