この記事では、板橋区踏切自殺強要事件の被害者、高野修さん（当時56歳）の生前の様子について、同業者であり事件前に警視庁から事情聴取を受けた北山塗装店社長・北山正幸氏の証言を元に深く掘り下げていきます。高野さんはどのような人物だったのか、事件の背景には何があったのか、一緒に考えていきましょう。
高野修さん、その人物像
北山氏によると、高野さんとは15年ほどの付き合いがあったとのこと。報道では北海道出身とされていますが、北山氏の記憶にはありません。東京で20年ほど一人親方のような形で仕事をしてきたのではないかと推測しています。北山塗装店では10年ほど前に働き始め、2年ほど在籍していました。
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身長は160cmちょっとの小柄で、実年齢よりも老けて見えたそうです。北山氏は「初めて会った時は40歳過ぎでしたが、60歳くらいに見えました。髭を生やしていたのも影響したかもしれません」と語っています。
仕事への姿勢と問題点
仕事ぶりはムラがあったようで、北山氏は「ある現場を『自分に全部やらせてくれ』と言い出したので任せたことがあるんですが、なかなか終わらなくて…」と振り返ります。結局、赤字になってしまい、高野さんは途中で仕事を放り出して現場に来なくなってしまったそうです。これが原因で話し合いをした結果、高野さんは北山塗装店を辞めることになりました。
また、高野さんには盗癖の噂があったことについても、北山氏は「そういう噂があったのは事実」と認めています。「ウチにいた時も2回くらい高野さんがいた現場で職人の財布がなくなる騒動が起きました。高野さんがやったとハッキリしたわけではないんですが、周囲は『高野さんが怪しい』と言う。以前から業界では高野さんのいる現場でよく金品がなくなる話はあったのです」と証言しています。
加害者との関係
北山氏は、高野さんが北山塗装店を辞めた後、佐々木容疑者から「高野さんはうちで働くことになりました」と連絡を受けたそうです。北山氏は佐々木容疑者に高野さんの問題点を伝えて「本当に大丈夫なの？」と確認しましたが、佐々木容疑者は「全然大丈夫ですよ」と答えたとのこと。つまり、加害者側は高野さんの問題点を把握した上で雇用していたことになります。
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悪人ではない、しかし…
北山氏は「決して悪い人ではなかった」とも強調しています。「熟練工だったし、やる時はちゃんと働いてくれた。手癖が悪いと言うのは病気でしょう。それで困ったと言うならばクビにすればいいだけの話。よってたかって20歳も年長の人をいじめるなんてありえない」と、事件への憤りを露わにしています。
今回の事件は、被害者の複雑な背景と加害者側の認識不足が絡み合った悲劇と言えるでしょう。改めて、労働環境の改善や人権意識の向上が求められています。
