希望に満ちた未来を夢見る3歳の幼い命が、海外では承認済みの薬を日本で使うことができず、もどかしい現実と闘っています。この記事では、小児がんの一種である神経芽腫と闘う幸之助くんとその家族、そして「ドラッグ・ロス」という問題について深く掘り下げます。
3歳、幸之助くんの闘病生活:神経芽腫との過酷な戦い
京都市に住む鈴木幸之助くんは、電車のおもちゃが大好きな3歳児。2歳上の姉、両親とともに幸せな日々を送っていました。しかし、2023年2月、突然の発熱や嘔吐といった症状に見舞われ、病院を受診。そこで告げられたのは、小児がんの一種「神経芽腫」という診断でした。
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幸之助くんの腹部には約11cmの腫瘍があり、首のリンパ節にも転移が見られる「高リスク」の状態。抗がん剤治療が始まりましたが、副作用による食欲不振や体力の低下など、幼い体に大きな負担がかかりました。
つらい治療を乗り越え、がん細胞が確認されない状態になっても、高リスクの神経芽腫の再発率は4割~5割。再発した場合の生存率は1割程度という厳しい現実が、家族を不安にさせます。
アメリカで承認された新薬「エフロルニチン」:日本で使えないジレンマ
2023年12月、アメリカで神経芽腫の再発リスクを軽減する新薬「エフロルニチン」が承認されました。飲み薬のため体への負担も少なく、幸之助くんにも投与できる希望の光。しかし、日本ではこの薬を使うことができません。
これが「ドラッグ・ロス」と呼ばれる問題です。海外で承認されている薬が、日本では承認申請すらされず使用できないという現状。小児がんにおいては、患者数が少ないため臨床試験の実施が困難であったり、採算性が見込めないといった理由から、特に深刻な問題となっています。
小児がん専門医の田中先生(仮名)は、「薬があるのに使えない現状は、患者とその家族にとって大きな苦痛です。医療者としても、最善の治療を提供できないもどかしさを感じています」と語っています。
幸之助くんの主治医である京都大学病院小児科の窪田博仁医師も同様に、患者家族の苦しみ、そして医療現場のジレンマを訴えています。
ドラッグ・ロス問題の解決に向けて:患者家族の願い、そして未来への希望
幸之助くんのように、ドラッグ・ロスによって必要な治療を受けられない子どもたちがいます。一刻も早くこの問題を解決し、すべての子どもたちが適切な医療を受けられる社会の実現が求められています。
この問題に対する意識を高め、患者家族の声を社会に届けることが重要です。幸之助くんと家族の闘病生活を通して、ドラッグ・ロス問題の深刻さを改めて認識し、未来への希望を繋いでいきましょう。