第27回参議院議員通常選挙(7月20日投開票)において、特に激戦が予想される東京選挙区(定員7)に無所属で立候補している山尾志桜里元衆院議員(50)は5日、JR有楽町駅前などで街頭演説を実施しました。彼女は、今回の参院選に向けた自身の「勝負」の意気込みと、主要な政策について聴衆に訴えかけ、国政復帰への強い決意を示しました。
無所属での立候補を決めた理由
山尾氏は、かつて国民民主党からの公認内定が見送られた経緯に触れ、「(それでも立候補するのか)何度も自分の心に問いかけたが、公認を取り消されても、国政に戻ってこの国のために働くという信念の火は消えなかった」と強調しました。さらに、「今回、無所属でよかったと思えるのは、政党の奴隷になったら政治家の信念が死ぬ」とし、そのまま議席だけ預かっても、何のために国会に行くか分からなくなると述べ、特定の政党に縛られずに自身の政治信条を貫く重要性を訴えました。
主要な政策「皇室と憲法」への考え
彼女は今回の参院選で主要な訴えとしている「皇室と憲法」に関する政策について、自らの持論を展開しました。具体的には、「女性天皇」の容認や、憲法9条2項の改正などを挙げ、これまでの国会議員としての10年間の蓄積と、国民との対話を通じて築き上げた国家像への思いで「そのまま勝負したい」と述べました。これらの政策は、多様な意見がある中で、自身の考えを率直に表明することで、有権者との対話を通じて支持を得たいという姿勢を示しています。
参院選東京選挙区の候補者一覧リスト。山尾志桜里氏の名前も見える。
「捨て身ではない勝負」:選挙戦への姿勢
選挙戦の厳しい環境についても言及した山尾氏は、「よく『捨て身の選挙』じゃないか、と言われるんですが、捨て身の選挙なんかじゃない、私は勝負しているんですよ。そして、この勝負には勝機はある」と力強く主張しました。永田町関係者からは「憲法改正を言えば左の層が離れ、女性天皇を言えば右の層が離れる。山尾さんの票はどこに残っているのか」と言われるが、「真ん中に残っている」と声を張り上げました。これは、特定のイデオロギーに偏らず、幅広い層からの支持を目指す姿勢を示唆しています。また、「1人で始まった選挙。1人の選挙だが、1人じゃない」と、支援者との強いつながりを強調し、孤立した選挙戦ではないことを訴えました。
漫画家・小林よしのり氏からの支援
この日の街頭演説には、山尾氏と親交が深く思想信条も近い漫画家の小林よしのり氏が、すべての会場で応援に駆けつけました。小林よしのり氏は、山尾氏が公認内定見送りとなっても国政に挑戦したいと決めた「おとこ気」に感銘を受け応援を決めたと述べました。「『この男は認められる』というスケールのでかいやつがいない。特に政治家。山尾さんはスケールがでかい」と評価し、さらに「法律をつくれる人で、具体的に進める行動力がある。なんとか国会に送り込もう」と集まった聴衆に呼び掛け、山尾氏を国会へ送り出すことの重要性を訴えました。小林よしのり氏は前日には山尾氏のポスター貼りもボランティアで行うなど、熱心な支援を行っています。著名な言論人からのこうした支援は、無所属候補である山尾氏にとって大きな力となります。
参院選の街頭演説で、聴衆に語りかける山尾志桜里氏と応援する漫画家・小林よしのり氏。
結び
参院選東京選挙区という激戦区において、山尾志桜里氏は無所属という立場から、自身の政治信念と「皇室と憲法」に関する独自の政策を訴え、街頭演説を通じて有権者に支持を求めています。小林よしのり氏のような著名人の応援も受け、「捨て身ではない勝負」として国政復帰を目指す彼女の今後の動向が注目されます。東京選挙区には32名が立候補しており、その行方は予断を許しません。