ゼロゼロ融資利用企業の倒産、累計2272件に 帝国データバンク調べ

新型コロナウイルス対策として実施された実質無利子・無担保融資(ゼロゼロ融資)を受けた企業の倒産(負債額1千万円以上)が、今年6月までの約5年間で累計2272件に達したことが、帝国データバンクの調査で明らかになった。支援により一時的に経営を維持できた企業も、その後の収益回復の遅れや資金繰りに行き詰まったことが倒産の主な理由とみられる。

直近の倒産件数推移

ゼロゼロ融資を受けた企業の倒産件数は、年々増加傾向にある。2023年には年間で652件が発生し、2024年にはさらに増えて735件となった。特に、今年1月から6月までの半年間では316件が確認されており、同期間で見ると3年連続で300件を超える高い水準が継続している。

ゼロゼロ融資を受けた企業の倒産件数の累計推移(2020年1月~2024年6月)ゼロゼロ融資を受けた企業の倒産件数の累計推移(2020年1月~2024年6月)

業種別の状況(2024年1-6月)

今年1月から6月の期間における業種別の倒産件数では、小売業が66件と最も多かった。次いで建設業が62件、製造業が60件となっている。小売業の中では飲食店が特に目立っており、コメをはじめとした食材価格の高騰など、物価上昇が収益を圧迫した影響が大きいと考えられる。

負債額の分布

倒産した企業の負債総額別に見ると、今年1月から6月の期間では1億円以上5億円未満のケースが142件発生し、全体の44.9%を占めている。比較的大規模な負債を抱えた企業も少なくないことが分かる。

経済情勢と今後の見通し

日本銀行による金融政策の変更に伴う金利上昇や、世界的な物価高による原材料費・調達経費の増加は、多くの企業の経営にさらなる負担をかけている。ゼロゼロ融資の返済が本格化する中で、金利負担増やコスト増に耐えきれず、今後も資金繰りが厳しくなる企業が増加することが懸念される。このような厳しい経済環境下で経営難に直面する企業への新たな支援策を求める声が今後高まる可能性がある。

これらのデータは、コロナ禍で多くの企業を支えたゼロゼロ融資が、現在の経済情勢下で逆に企業の苦境を示す指標となりつつある状況を明らかにしている。

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