72人の男に妻をレイプさせた男、フランスで衝撃の裁判…共犯の弁護士は「モンスターに操られた」と無罪主張

フランス南東部アビニョンで、妻に鎮静剤を投与し、72人の男に性的暴行を加えさせたとして、ドミニク・ペリコ被告(72歳)の裁判が波紋を広げている。本稿では、この衝撃的な事件の概要と、共犯の弁護士による無罪主張の論点について詳しく解説する。

妻への性的暴行を幇助、72人の男が関与した驚愕の事件

ドミニク・ペリコ被告は、妻ジゼルさんに意識を麻痺させる薬物を投与し、自身だけでなく、インターネットで募った72人の男に性的暴行を加えさせたとして起訴された。この前代未聞の事件は、フランス社会に大きな衝撃を与えている。

南仏アビニョンの裁判所で行われているドミニク・ペリコ被告の裁判で、共同被告2人を担当している弁護士のナディア・エル・ブルミ氏(2024年12月13日撮影)。南仏アビニョンの裁判所で行われているドミニク・ペリコ被告の裁判で、共同被告2人を担当している弁護士のナディア・エル・ブルミ氏(2024年12月13日撮影)。

ペリコ被告以外に、27歳から74歳までの50人が共犯として起訴されている。驚くべきことに、その中にはペリコ被告の手口を真似て、自身の妻に同様の行為を行っていた男も含まれている。

共犯の弁護士、驚きの無罪主張「ペリコ被告というモンスターに操られた」

清掃員のオマール・D.被告(36歳)と年金生活者のジャンマルク・L.被告(74歳)の弁護を担当するナディア・エル・ブルミ弁護士は、2人がペリコ被告という「モンスター」に操られ、ジゼルさんが薬物を投与されていたことを知らなかったとして、無罪を主張している。

エル・ブルミ弁護士は、「私が弁護しているのは社会的に普通の男性たちだ」と述べ、2人はペリコ被告に「物のように扱われた」「間接的な犠牲者だ」と主張。ジゼルさんの同意がなかったことは認める一方で、2人には薬物投与の認識はなかったと強調した。他の被告の弁護人も同様に、ペリコ被告を「オーガ(鬼)」「オオカミ」などと表現し、被告たちの責任を軽減しようとしている。

世論の圧力と弁護人の苦悩

エル・ブルミ弁護士は、この裁判が世論からの強い圧力にさらされていると指摘。自身への批判的な意見や、SNSへの動画投稿に対するバッシングに触れ、「市民団体が英雄扱いされ、私たち(被告の弁護人)が何を言ってもアンチフェミニズムと見なされる」と、弁護活動の難しさを訴えた。

裁判の行方と社会への影響

この事件は、性犯罪の深刻さとともに、加害者側の弁護戦略、そして社会の反応という複雑な問題を浮き彫りにしている。今後の裁判の行方、そして判決が社会に与える影響に注目が集まっている。

エル・ブルミ弁護士は、判事らに対し「冷静さを保ち」、事件の事実関係に基づいた判断を求めている。この事件は、今後のフランスにおける性犯罪の取り締まりや被害者支援のあり方にも大きな影響を与える可能性がある。