韓国大統領弾劾訴追案、国会で可決 尹大統領は職務停止へ

韓国国会は14日、尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領に対する弾劾訴追案を賛成多数で可決しました。これにより、尹大統領は職務停止となり、憲法裁判所が弾劾の可否を審理する間、韓悳洙(ハン・ドクス)首相が大統領代行を務めることになります。

弾劾可決の背景と経緯

今回の弾劾訴追案は、尹大統領が戒厳令を宣布したことを受けて、野党が提出したものです。尹大統領は、野党が多数派を占める国会が重要法案の成立を阻止し、国政運営に支障をきたしているとして、3日夜に戒厳令を宣布しました。しかし、国会は4日未明に戒厳令の解除を求める決議案を可決し、尹大統領はわずか6時間で戒厳令を解除しました。

韓国国会議事堂韓国国会議事堂

この尹大統領の行動に対し、野党は「民主主義への攻撃」と強く反発し、弾劾訴追案を提出しました。野党は、戒厳令の宣布は憲法に違反するものであり、大統領の職務遂行能力に疑問があると主張しました。

弾劾訴追案可決後の韓国政界

弾劾訴追案の可決を受け、尹大統領は「私は諦めない」と述べ、最後の瞬間まで国のために最善を尽くす姿勢を示しました。また、大統領代行を務める韓首相への支持も求めました。韓首相は、大統領代行として安定した国政運営に全力を尽くす考えを示し、国家安全保障会議を開催し、北朝鮮の挑発に備えるよう指示しました。

今後の展開と課題

憲法裁判所は、今後180日以内に弾劾の可否を判断します。弾劾が確定すれば、尹大統領は失職し、60日以内に大統領選挙が行われることになります。専門家の中には、今回の弾劾可決で政治的混乱が終息する可能性は低いと指摘する声もあります。共に民主党の李在明代表も係争中で、職務を剥奪される可能性があるため、今後の政局は予断を許しません。韓国政治は大きな岐路に立たされています。

国民の反応と今後の展望

弾劾可決のニュースを受け、国会近くでは弾劾支持派のデモ参加者から歓声が上がりました。共に民主党の李在明代表は、デモ参加者に対し、尹大統領を排除するための共闘を呼びかけました。一方、与党「国民の力」内では、弾劾訴追案への対応をめぐり意見が割れており、今後の党内情勢にも影響が出そうです。

今後の韓国政界は、憲法裁判所の判断を待つだけでなく、与野党の対立、国民世論の動向など、様々な要素が複雑に絡み合い、予断を許さない状況が続くものと予想されます。韓国政治の行方が注目されます。