韓国与党代表、尹大統領弾劾賛成で辞任表明 – 保守分裂の危機

韓国の保守系与党「国民の力」の韓東勲(ハン・ドンフン)代表が、尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領の弾劾訴追案に賛成した責任を取り、辞任を表明しました。この電撃辞任は、韓国政界に大きな波紋を広げ、今後の政局を占う上で重要なポイントとなるでしょう。

弾劾賛成の背景と波紋

韓代表は、尹大統領が戒厳令を正当化する発言や、総選挙での不正を示唆する発言などを繰り返す中、「憲法と民主主義を守る」ため、弾劾訴追案に賛成したと説明しています。国民の意思を尊重する姿勢を示した形ですが、党内からは激しい批判が噴出。党執行部が事実上崩壊する事態に発展しました。

韓国の保守系与党「国民の力」の韓東勲代表(中央)=ソウル市内で2024年4月11日韓国の保守系与党「国民の力」の韓東勲代表(中央)=ソウル市内で2024年4月11日

保守分裂の危機と今後の政局

韓代表の辞任は、韓国の保守勢力の分裂をさらに深刻化させる可能性があります。尹大統領を支持する強硬派と、韓代表のように憲法や民主主義を重視する勢力との対立が激化し、政局の不安定化につながる恐れも懸念されます。

政治評論家の李氏(仮名)は、「今回の辞任劇は、韓国保守のアイデンティティクライシスを象徴している」と指摘。「尹大統領の強権的な姿勢に反発する勢力が台頭する一方、大統領を支持する層も根強く存在しており、今後の政局は予断を許さない」と分析しています。

国民への謝罪と未来への展望

韓代表は辞任会見で、国民に謝罪するとともに、「不正選挙を唱える陰謀論者や極端なユーチューバーに同調しては保守の未来はない」と訴えました。これは、ポピュリズムや陰謀論に傾倒する動きへの警鐘と言えるでしょう。

今後の課題と展望

今回の辞任劇を契機に、韓国の保守勢力は、自らの進むべき道を改めて問い直す必要があるでしょう。真の保守とは何か、国民の信頼をどのように回復していくのか、今後の動向が注目されます。

韓国政治専門家の朴氏(仮名)は、「国民の力」は、党内融和を図り、国民の信頼を取り戻すための具体的な政策を打ち出す必要があると指摘しています。また、野党との協調も不可欠であり、国益を最優先した政治を進めていくことが求められるでしょう。

韓国の政治は、大きな転換期を迎えています。今後の展開に、世界中が注目しています。