英国の著名チェリスト、シェク・カネーメイソン氏が、航空会社エア・カナダによるチェロの搭乗拒否を受け、カナダ・トロントでのコンサートを中止せざるを得ない事態となりました。ヘンリー王子とメーガン妃の結婚式で演奏したことでも知られるカネーメイソン氏。今回の出来事は、楽器と共に旅する音楽家たちの苦悩を改めて浮き彫りにしました。
チェロ搭乗拒否の真相
ピアニストの妹イサタ・カネーメイソン氏と共に北米ツアー中のシェク氏。トロントでの公演を楽しみにしていた二人に、予期せぬトラブルが発生しました。当初の航空便は遅延、そしてキャンセル。最終便での搭乗を試みるも、事前予約していたにも関わらず、チェロの搭乗は拒否されてしまったのです。空港で9時間もの間待機を余儀なくされた結果、コンサート開催は断念せざるを得ませんでした。
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カネーメイソン姉妹はSNSで無念の思いを吐露。「遅延、キャンセルに続き、予約済みのチェロの搭乗が拒否された。空港で9時間もの不安な時間を過ごした後、旅を続けるのは不可能だと判断した」と、当時の状況を説明しています。
貴重なチェロ、搭乗拒否の代償
カネーメイソン氏が愛用するチェロは、1700年に名工マッテオ・ゴフリラーによって製作された逸品。300万ユーロ(約4億8000万円)もの価値があるとされ、カネーメイソン氏に無期限で貸与されています。今回の搭乗拒否は、金銭的な損失だけでなく、演奏家としてのキャリアにも影響を及ぼす可能性があります。
エア・カナダの楽器持ち込み規定
エア・カナダの規定では、一定のサイズと重量以下の楽器であれば、座席を購入することで機内持ち込みが可能となっています。しかし、便ごとに持ち込み可能な楽器の数には制限があるとの注意書きも。今回のケースでは、この制限が影響した可能性も考えられます。
音楽家たちの切実な願い
カネーメイソン姉妹は、「全ての航空会社が、機内への楽器持ち込みについて、標準化され、グローバルで、慎重に検討されたルールを設ける日が来ることを願う」と訴えています。高価で繊細な楽器と共に世界を飛び回る音楽家たちにとって、明確で統一されたルール作りは、安心して演奏活動を行う上で不可欠と言えるでしょう。今回の出来事をきっかけに、航空会社と音楽家間でのより良い協力体制が築かれることを期待します。
カネーメイソン氏の悲痛な訴えは、多くの音楽家たちの共感を呼ぶと共に、楽器輸送における課題を改めて浮き彫りにしました。今後の航空業界の対応に注目が集まります。