キム・ヒョナ:アイドル界のタブーを破り、愛とキャリアを貫いた型破りな道

かつてアイドルグループ「4Minute」や「Wonder Girls」のメンバーとして活躍したキム・ヒョナは、現在、歌手、ラッパー、作詞作曲家としても活動するソロアーティストとして独自の道を歩んでいます。彼女は、アイドルとしては異例だったタトゥーの公表、熱愛のオープンなカミングアウト、うつ病やパニック障害の告白など、従来の型にはまらない生き方で強い存在感を放ってきました。その生き様は、K-POP業界に新たな風を吹き込み、多くのファンを魅了し続けています。

「アイドル恋愛禁止」の暗黙のルールを破った衝撃の告白

アイドル業界では「恋愛禁止」が暗黙のルールとされていた2018年、キム・ヒョナはPENTAGONのイドンとの交際を公表し、世間に大きな衝撃を与えました。ヒョナとイドン、そしてPENTAGONのフイで構成されたユニットグループ「Triple H」での活動を通じて親密になった二人。当初、所属事務所は熱愛説を否定していましたが、同日夜にヒョナとイドン本人が韓国の芸能スクープメディアなどを通じて自ら交際を公表するという、異例の事態に発展しました。

ヒョナは当時、「ファンには正直に伝えたかった。嘘をつきたくなかった」と語り、さらに「とても感謝しているし、私たちはお互いを信頼して愛している」とコメントを発表。この正直な告白は、アイドルとファンの関係性、そして芸能界のあり方について一石を投じる形となりました。

ソロアーティストとして活動中のキム・ヒョナソロアーティストとして活動中のキム・ヒョナ

交際公表から約2か月後、ヒョナとイドンカップルは所属事務所との契約を解除されるという厳しい現実に直面します。しかし、翌年には二人とも歌手PSYが設立したP NATIONと所属契約を結び、新たなスタートを切りました。ヒョナは後年のインタビューで、「私に『何でもやっていいよ』と言ってくれたのは、PSYさんが初めてだった」と語っており、当時の二人にとってPSYが理解者であり、創作活動の味方であり、まさに救済者のような存在であったことが伺えます。

6年間の愛とタトゥー、そして突然の破局

キム・ヒョナとイドンは約6年間という長い期間にわたり交際を続けました。二人はお互いのSNSでツーショット写真やメッセージを度々投稿し、その仲睦まじい様子をファンに披露していました。特に注目を集めたのは、同じ書体の「LIFE」という文字や「365」という数字など、お揃いのタトゥーを入れていたことが判明した時です。容易には消せないタトゥーをペアで入れるという行為は、二人の関係に対する強い意志と、ある種のやんちゃな一面を物語っていました。

2022年初頭には、婚約指輪を公開し「結婚間近か」と報じられましたが、その年の年末、ヒョナは自身のInstagramを通じて「別れたことをお知らせします」と投稿し、破局を公表しました。長きにわたる交際と多くの困難を乗り越えた二人だけに、この発表は多くの人々に驚きと惜しむ気持ちを与えました。

イドンとの交際を公表したキム・ヒョナイドンとの交際を公表したキム・ヒョナ

キム・ヒョナの物語は、単なるアイドルの恋愛話に留まりません。それは、K-POP業界の厳しい慣習に立ち向かい、自身の感情とキャリア、そして正直な生き方を追求した一人のアーティストの記録です。彼女の選択は常に注目を集め、時に物議を醸しながらも、多くの人々に勇気を与え、現代社会における個人の自由と表現の重要性を問い続けています。