尹大統領弾劾可決!その行方と韓国政界の混迷

韓国政界に再び激震が走りました。12月14日、尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領に対する弾劾訴追案が国会で可決されました。1週間前の採決では不参加だった与党「国民の力」も世論に押され、今回は参加。結果、賛成204票、反対85票という大差で弾劾が成立しました。しかし、これで尹大統領がただちに失職するわけではありません。今後の手続きや憲法裁判所の判断、そして韓国政界の動向に注目が集まっています。

弾劾可決、しかし道のりは険しい

弾劾訴追案可決により、尹大統領の職務は停止されました。しかし、大統領職の解任は確定したわけではなく、憲法裁判所の判断を待たなければなりません。過去の事例では、憲法裁判所の判断が出るまで2~3ヶ月かかっています。しかし、現在の憲法裁判所を取り巻く状況を考えると、さらに長期化する可能性も指摘されています。

憲法裁判所の現状と課題

憲法裁判所の審議が長期化する可能性がある理由は大きく二つあります。一つ目は、憲法裁判官の定員割れです。大統領弾劾訴追案の審議には7人以上の裁判官の出席と6人以上の賛成が必要ですが、現在、憲法裁判官はわずか6人しかいません。6人での審議は可能とされていますが、全員一致で賛成しなければ弾劾は成立しないため、ハードルは非常に高いと言えます。

韓国の国会議事堂韓国の国会議事堂

憲法裁判官は国会、大統領、司法府がそれぞれ3人ずつ推薦し、計9人で構成されます。現在、国会が推薦する3人の枠が空席となっており、これが審議の遅延に繋がっています。与野党の対立により推薦が難航している状況で、早期の解決は困難と見られています。

二つ目の理由は、大統領権限代行の任命権限に関する議論です。尹大統領の職務停止中は、韓悳洙(ハン・ドクス)首相が大統領権限代行を務めます。しかし、韓首相に憲法裁判官を任命する権限があるかどうかは議論の余地があります。2017年の朴槿恵(パク・クネ)大統領弾劾時には、権限代行による裁判官任命が野党から批判された経緯もあり、今回も同様の論争が起きる可能性があります。

今後の展望と韓国政界の行方

来年4月には、大統領が推薦した憲法裁判官2人の任期が満了します。もし韓首相が後任を任命できなければ、憲法裁判所は4人体制となり、審議すらできなくなる可能性があります。政治アナリストの金氏は、「今後の政局は予断を許さない状況だ。与野党の対立が激化する中で、憲法裁判所の判断がさらに遅れることも考えられる」と指摘しています。

李在明「共に民主党」代表李在明「共に民主党」代表

尹大統領の弾劾をめぐる攻防は、韓国政界の不安定さを浮き彫りにしています。憲法裁判所の判断、そして今後の政治日程が韓国の未来を大きく左右することになりそうです。