シリア情勢:アサド政権崩壊後もロシア軍、駐留基地からの撤退はせず

シリアのアサド政権が崩壊した後、ロシア軍は北部前線などからの撤退を進めているものの、国内の主要な2つの駐留基地からは撤退していないことが、シリア当局者からの情報で明らかになりました。今後のシリア情勢とロシアの動向に注目が集まっています。

ロシア軍、シリア駐留基地の現状

アサド政権との緊密な関係を築いてきたロシアにとって、政権崩壊はシリアにおける戦略の再考を迫られる事態となっています。特に、西部ラタキア県のフメイミム空軍基地と地中海沿岸のタルトース海軍基地の将来については、様々な憶測が飛び交っています。

フメイミム空軍基地に駐機するロシア軍機(2024年)フメイミム空軍基地に駐機するロシア軍機(2024年)

米国の衛星情報会社が公開した衛星写真には、フメイミム空軍基地で貨物機とされるアントノフAN-124が確認され、シリア治安当局者によると、少なくとも1機がリビアに向けて出発したとのことです。

ロシア軍の動向:再編成と再配置の可能性

ロシアと接触のあるシリアの軍・治安当局筋によれば、ロシア軍は前線からの撤退を進め、一部の重装備やシリア軍幹部を移動させていると伝えられています。しかし、フメイミム空軍基地とタルトース海軍基地からの撤退は現時点では行われておらず、その予定もないとされています。

一部の装備やアサド政権軍幹部がモスクワに送られているという情報もありますが、シリア軍幹部の一人は、現地の状況に応じて再編成と再配置を行うことが目的だと説明しています。

シリア新暫定政権とロシアの関係

シリアの新しい暫定政権に近い反体制派幹部は、ロシア軍のプレゼンスやアサド政権とロシア間の過去の合意についてはまだ議論されていないと述べています。シリア国民が最終的な判断を下すとしつつも、ロシアとの対話ルートが確立されていることを明らかにしました。

ロシア関係筋もシリア新指導者との話し合いが行われていることを認め、駐留基地からの撤退は否定しています。今後の両国の関係がどの様に展開していくのか、引き続き注視していく必要があります。

今後の展望:不透明なシリア情勢

アサド政権崩壊後のシリアは、未だ混迷を極めています。ロシア軍の駐留基地維持は、同国がシリア情勢において引き続き重要な役割を果たすことを示唆しています。今後のシリア情勢の行方は、ロシアと新暫定政権、そして周辺諸国の動向に大きく左右されることになるでしょう。