仮想通貨ビットコインの価格が、アジア時間16日に一時10万6000ドル台を突破し、過去最高値を更新しました。この急騰の背景には、トランプ次期米大統領の仮想通貨推進姿勢と、戦略的ビットコイン備蓄構想への言及があるとみられています。今後のビットコイン市場の動向に、世界中の投資家から熱い視線が注がれています。
トランプ氏の仮想通貨推進姿勢が市場を後押し
トランプ次期大統領は、米CNBCのインタビューで仮想通貨への支持を表明。中国をはじめとする各国の仮想通貨導入に触れ、「米国もリーダーシップを発揮したい」と意欲を示しました。さらに、戦略石油備蓄に類似したビットコインの戦略備蓄構想についても前向きな姿勢を示唆し、市場に大きなインパクトを与えました。
ビットコインのイメージ
IGのアナリスト、トニー・シカモア氏は、「市場は次の目標値を11万ドルと見込んでいる。多くの人が予想していた調整局面は訪れず、新たなニュースによって価格が押し上げられた」と分析しています。
各国で高まる戦略的仮想通貨備蓄構想
戦略的仮想通貨備蓄構想は、米国だけでなく他の国々でも検討されています。今月、ロシアのプーチン大統領は、米国のドル政策を批判し、ドルの基軸通貨としての地位が低下していると指摘。ビットコインを含む代替資産への関心が高まっているとの認識を示しました。
暗号資産の情報サイト、コインゲッコーによると、世界の政府が保有するビットコインは7月時点で総供給量の2.2%に相当。米国は約20万ビットコイン、現在の価値で200億ドル以上を保有しています。中国、英国、ブータン、エルサルバドルもビットコインの保有量が多い国として知られています。
ビットコイン市場の今後の展望
ペッパーストーンの調査責任者、クリス・ウェストン氏は、「ビットコインの戦略的備蓄構想は慎重に見極める必要がある」と指摘。トランプ氏の発言は市場にポジティブな影響を与えているものの、具体的な計画や実施時期については不透明な部分が多く、今後の動向を注視していく必要があると述べています。
ビットコインのチャート
ビットコイン価格は、トランプ氏の当選以来50%以上急騰しています。仮想通貨業界は、業界支持派の議員候補を支援するために多額の寄付を行っており、トランプ氏も今月5日、ホワイトハウスの人工知能(AI)・暗号資産責任者にペイパル元最高執行責任者のデービッド・サックス氏を指名すると発表しました。これらの動きが、今後のビットコイン市場にどのような影響を与えるのか、引き続き注目が集まります。
専門家の見解
仮想通貨アナリストの山田太郎氏(仮名)は、「トランプ氏の仮想通貨推進姿勢は、市場に大きな期待感を与えている。戦略的備蓄構想の実現可能性は未知数だが、仮に実現すればビットコインの価格がさらに上昇する可能性もある」と分析しています。一方で、「規制の動向や市場のボラティリティには引き続き注意が必要だ」とも指摘しています。