トランプ次期米大統領は16日の記者会見で、シリアのアサド政権が反体制派による攻勢で崩壊したことについて「トルコはとても賢い。多くの命を失うことなく、非友好的にシリアを奪取した」などと主張した。今後のシリア情勢では「多くの不確定要素があるが、トルコが鍵を握ると思う」との見方も示した。
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トルコのエルドアン政権はアサド政権と対立してきた。反体制派を主導する「ハヤト・タハリール・シャム」(HTS)をテロ組織に指定しているが、一定の関係も築いているとされる。11月下旬に始まったHTSによる大規模攻勢も事実上容認した。
トランプ氏はアサド政権を「虐殺者」だと非難。その上で「(反体制派の)背後にトルコがいる。彼らは何千年も(シリアを)欲しがっていて、手に入れた」と主張した。またエルドアン大統領との良好な関係を強調し、「彼は非常に強力な軍隊を作り上げた」などと称賛した。
米軍はシリアに約900人が駐留し、過激派組織「イスラム国」(IS)の掃討作戦で、クルド人主体の民兵組織「シリア民主軍」(SDF)と連携している。ただエルドアン政権はSDFを含むクルド系を敵視。親トルコの勢力がSDFに攻勢をかけており、バイデン政権はIS掃討作戦への影響を懸念する。トランプ氏は今回の記者会見で、駐留米軍の今後については明言を避けた。【ワシントン松井聡】