フォルクスワーゲン（VW）、世界販売台数でトヨタに次ぐ自動車業界の巨人が、大きな苦境に立たされています。EV（電気自動車）への移行を進める中、需要の減少、コストの上昇、そして中国メーカーとの熾烈な競争という三重苦に直面しているのです。
EVシフトの波に乗り遅れたのか？VWの苦悩
VWはEVシフトを積極的に推進してきましたが、その戦略は思惑通りに進んでいるとは言えない状況です。世界的な景気後退懸念から自動車需要が冷え込む中、EVへの需要も鈍化しています。さらに、EVの生産には高額なコストがかかり、VWの収益を圧迫しています。追い打ちをかけるように、中国メーカーの台頭もVWにとって大きな脅威となっています。彼らは低価格で高性能なEVを次々と市場に投入し、VWのシェアを奪いつつあるのです。
VW工場の風景
工場閉鎖とリストラ計画：労働組合の猛反発
こうした厳しい状況を受け、VWは9月にドイツ国内の少なくとも3つの工場を閉鎖し、数万人の従業員を解雇する計画を発表しました。1937年の創業以来、国内工場の閉鎖は初めてのことで、労働組合は猛反発しています。ストライキや抗議行動が相次ぎ、労使交渉は難航を極めています。自動車業界専門家の佐藤一郎氏（仮名）は、「VWのリストラ計画は、EVシフトの遅れを取り戻すための苦肉の策と言えるでしょう。しかし、労働組合との対立は長期化の様相を呈しており、VWの経営にさらなる影を落とす可能性があります」と指摘しています。
株価暴落、3兆円超の減損計上も
VWの苦境は、株価にも大きな影響を与えています。VWの持ち株会社であるポルシェSEは13日、保有するVW株について、最大200億ユーロ（日本円で3兆円超）の減損損失を計上する可能性があると発表しました。この発表を受け、VWの株価はさらに下落しています。「世界的なEVシフトの潮流の中で、VWは生き残りをかけた戦いを強いられています。今回の減損計上は、その厳しい現実を改めて突きつけるものと言えるでしょう」と、経済アナリストの田中花子氏（仮名）は述べています。
VWの未来はどこへ？
EVシフトの難航、工場閉鎖問題、株価暴落…VWを取り巻く状況は厳しさを増しています。VWは今後、どのようにしてこの危機を乗り越えていくのでしょうか。今後の動向に注目が集まります。
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