中国経済の減速が深刻化し、デフレ懸念がますます高まっている。長期国債利回りの低下、消費者物価の低迷、そして内需の冷え込みは、まるで「失われた30年」を経験した日本経済の悪夢を彷彿とさせる。果たして中国経済は日本と同じ道を辿るのか、そしてその影響は日本経済にどのように及ぶのか、詳しく見ていこう。
深刻化する中国経済の減速
中国の10年物国債利回りは、わずか1カ月半で0.18%も下落し、過去最低水準を記録。30年物国債利回りも同様に下落しており、市場の中国経済に対する悲観的な見方を反映している。これは安全資産である国債への需要が高まった結果だが、同時に中長期的な景気鈍化を示唆する危険な兆候でもある。
中国国債の利回り推移
消費者物価指数(CPI)も20カ月連続で1%台を下回り、デフレ懸念をさらに深めている。小売売上高も伸び悩み、企業の投資意欲も減退。経済活動の30%を占める不動産市場も低迷しており、中国経済の先行きに暗い影を落としている。
デフレの兆候
専門家の中には、中国経済が既にデフレ局面に突入したと見る向きもある。例えば、iM証券のエコノミスト、パク・サンヒョン氏は、企業の要求払い預金の減少を指摘し、「中国企業は投資意欲を失っており、手元資金を遊ばせている」と分析。深刻な景気低迷、あるいはデフレの可能性を示唆している。
日本経済への影響
中国経済の低迷は、日本経済にも大きな影響を及ぼす可能性がある。まず、中国国債利回りの低下は人民元安圧力となり、ウォン相場にも影響を与える可能性がある。また、中国の内需不振は、日本の対中輸出にも悪影響を及ぼすだろう。
さらに、中国企業が低価格輸出攻勢を強めれば、日本企業との価格競争が激化し、日本経済の更なる下押し圧力となることも懸念される。
専門家の見解
漢陽大学経済学科のハ・ジュンギョン教授は、「中国は不動産市場の低迷、消費の萎縮、そしてデフレ圧力に直面している」と指摘。日本も同様の状況を経験したことを踏まえ、「日本は『失われた30年』を経験した。中国経済の動向を注視し、適切な対策を講じる必要がある」と警鐘を鳴らしている。
今後の展望
中国経済のデフレ懸念は、世界経済にとっても大きなリスク要因だ。中国政府は景気刺激策を打ち出しているものの、効果は限定的。今後の動向次第では、世界経済全体が大きな打撃を受ける可能性も否定できない。
中国の経済指標
中国経済の行方は、日本経済のみならず、世界経済の未来を左右する重要な要素と言えるだろう。