日産自動車とホンダの統合協議開始は、日本経済、ひいては世界自動車業界に衝撃を与えました。かつて「技術の日産」と謳われた名門が、再び岐路に立たされています。日産の復活、そして日本自動車産業の未来はどうなるのか、深く掘り下げてみましょう。
ゴーン氏と日産の栄光と転落
日産はバブル崩壊後、過剰な生産能力を抱え、深刻な経営危機に陥りました。1999年、仏ルノーの傘下に入り、カルロス・ゴーン氏がCEOに就任。大胆なリストラ「リバイバル・プラン」を断行し、V字回復を遂げました。2010年にはEV「リーフ」を発売、世界に先駆けてEV市場に参入しました。
日産自動車本社
ルノー、日産、三菱自動車の3社連合は2017年に販売台数1060万台を突破。日産は581万台を売り上げ、連合を牽引しました。しかし、ゴーン氏の逮捕を契機に、日産とルノーの関係は悪化。コロナ禍やウクライナ情勢、テスラなどの新興EVメーカーの台頭も重なり、日産の業績は再び低迷しました。
単独での生き残りの難しさ
2023年、日産とルノーは資本関係の対等化に合意。経営の自由度を高めたものの、部品の共同購入契約解消などによりコスト削減が難航。北米市場で人気のHV投入の遅れも響き、2024年9月中間期決算の最終利益は前年同期比9割減という厳しい結果となりました。
日産の株価推移
自動車業界アナリストの山田一郎氏(仮名)は、「世界的なEVシフト、自動運転技術の進化など、自動車業界は100年に一度の大変革期を迎えています。単独での生き残りは非常に難しい」と指摘します。
ホンダとの統合は起死回生となるか?
9000人規模のリストラを実施したにも関わらず、2024年12月に発表された役員人事は、経営幹部の配置転換にとどまりました。こうした状況の中、ホンダとの統合協議開始は、日産にとって起死回生の一手となる可能性を秘めています。
統合により、規模の経済によるコスト削減、技術の共有、販売網の拡大など、多くのメリットが期待されます。しかし、企業文化の違い、統合後の経営体制、ブランド戦略など、課題も多く存在します。
自動車ジャーナリストの佐藤花子氏(仮名)は、「統合は容易な道のりではありません。両社の強みを生かし、シナジー効果を発揮できるかが鍵となるでしょう」と述べています。
日産の未来、そして日本自動車産業の行方
ホンダとの統合協議の行方は、日産の未来だけでなく、日本自動車産業全体の行方を左右する重要な分岐点となるでしょう。市場は、協議の進展を注視しています。