夏休みにレジャー施設へ足を運ぶ機会が増える中、全国の主要レジャー施設ではチケット料金の値上げが相次いでいます。株式会社帝国データバンクの「2025年主要レジャー施設(テーマパーク)価格調査」によると、2025年に入って料金を引き上げた施設は71施設に上り、前年の37施設から約1.9倍に増加したことが明らかになりました。これは、国内のレジャー市場における大きな変化を示すものです。
レジャー施設のチケット料金値上げを象徴するイメージ画像。レジャー費用高騰の背景と影響。
2025年、レジャー施設の値上げが約2倍に急増
帝国データバンクが全国の主要レジャー施設190箇所(テーマパーク、水族館、動物園など)を対象に行った調査結果は、市場の動向を明確に示しています。2025年に料金を値上げした施設は全体の37.4%にあたる71施設に達し、前年の19.5%(37施設)と比較して約1.9倍の増加となりました。これは2023年以降の調査で過去最多の数字です。
特に注目すべきは、「テーマパーク(遊園地を含む)」の動向です。対象100施設のうち、51施設がフリーパスを含むチケット代を値上げしており、2024年の23施設から倍増。調査開始以来初めて、値上げ施設が全体の半数を超えました。また、「水族館」と「動物園」もそれぞれ10施設が値上げを行い、前年から値上げ施設の数が増加しています。
チケット料金の平均推移と最高額
2025年におけるレジャー施設全体の「一般券(入場料)」平均価格(大人1名)は1,695円となり、2024年平均の1,626円から69円上昇しました。さらに、遊園地・テーマパークで広く導入されている「フリーパス」の平均価格(最高額)は4,846円で、前年より249円増となりました。
施設の種類別に見ると、「水族館」の一般券平均が2,158円と最も高く、前年平均から91円の上昇が見られます。「テーマパーク」は1,622円で、前年平均から74円増加。一方、「動物園」は1,427円と最も低い平均入場料にとどまっています。国内主要レジャー施設の入場料・フリーパス料金で最高額を記録したのは、ユニバーサル・スタジオ・ジャパンの「1デイ・スタジオ・パス(大人1名当たり)」で、1万1,900円となっています。
値上げの背景と業界が直面する課題
レジャー施設の料金値上げの背景には、電気代や人件費といった運営コストの継続的な高騰があります。これに加え、ゴールデンウィークや夏休みなどの繁忙期、土日祝日といった需要が高い期間に料金を変動させる「変動料金制(ダイナミックプライシング)」の導入・拡大が進んでいることも、平均価格上昇の一因です。フリーパス料金が大人1名あたり5,000円に迫る状況は、運営側の収益確保に向けた強い意志を示しています。
しかしながら、この値上げの動きは新たな課題も生み出しています。若者のテーマパーク離れや、既存顧客のリピート率低下といった懸念が指摘されており、価格に見合う価値を提供できるかどうかが、チケット値上げを軸とした収益確保において極めて重要であると、帝国データバンクは指摘しています。
来園者への「価値提供」が鍵
レジャー施設の相次ぐ値上げは、運営コストの上昇という避けられない背景がある一方で、消費者にとっては家計への負担増を意味します。このような状況下で、施設側は単に料金を引き上げるだけでなく、来園者に「価格に見合う価値」を提供することが求められています。体験の質向上、サービスの充実、魅力的なイベントの企画などを通じて、消費者が「高くなったけれど、それ以上の満足感が得られた」と感じられるかどうかが、今後のレジャー産業の持続的な成長を左右する鍵となるでしょう。
参考文献:
- まいどなニュース「レジャー施設の「チケット代値上げ」前年から倍増」(Yahoo!ニュース)