ALS(筋萎縮性側索硬化症)と闘いながら、安楽死反対を訴え続けた岡部宏生さん。病魔と闘う中で見出した「生きる意味」とは?この記事では、岡部さんの力強いメッセージと、私たちが真に目指すべき社会の姿について考えます。
岡部宏生さん、難病ALSとの闘い
ALS患者である岡部宏生さんの写真
岡部宏生さんは、全身の筋肉が徐々に衰えていく難病ALSと18年間闘い続けました。人工呼吸器を装着し、24時間体制の介護が必要な状態でありながらも、その目は力強く、ユーモアを交えた言葉には生きる希望が溢れていました。
わずかな眼球の動きで伝える、力強いメッセージ
岡部宏生さん、介助者と筆者のスリーショット
わずかに動く眼球の動きで文字盤を追い、一文字ずつ介助者に読み取ってもらうことで、岡部さんは自らの思いを伝え続けました。「安楽死で死んでいけるような社会を目指すなら、希望をもてる社会ではありません」。岡部さんのこの言葉は、多くの人の心に深く刻まれました。医療ソーシャルワーカーの田中美咲さん(仮名)は、「岡部さんの言葉は、どんな困難な状況でも希望を捨てずに生きることの大切さを教えてくれます」と語ります。
ALS発症、そして絶望からの希望
ALS発症後、呼吸器をつける前の岡部宏生さんの写真
48歳でALSを発症した岡部さんは、当初絶望の淵に立たされました。人生の絶頂期での発症、そして死への恐怖。しかし、家族や周囲の人々の支えの中で、岡部さんは生きる希望を見出していきます。「生きる」ということを問い続けた岡部さんの生き様は、私たちに多くのことを考えさせてくれます。精神科医の佐藤健太郎先生(仮名)は、「岡部さんのように、限界状況においても希望を持ち続けることは、人間の持つ強さを示しています」と述べています。
岡部宏生さんの写真
岡部さんは、2024年夏に体調を崩し、意思表示ができない状態となりました。しかし、彼が遺したメッセージは、私たちに「生きたいと思える社会」とは何かを問いかけ続けています。