竹中平蔵氏と林尚弘氏が提言:日本経済停滞打破の「究極の改革」と“禁断のシナリオ”

かつて小泉純一郎政権下で構造改革を断行した経済学者・竹中平蔵氏は、石破茂政権の2万円給付案を「目的がわからない究極の手抜き」と厳しく批判しました。長年にわたり日本経済の成長が停滞し、なぜ奇妙な政策ばかりが続くのかという問いに対し、竹中氏と『令和の虎』2代目主宰である林尚弘氏が、日本の未来に向けた本音の対談を繰り広げました。本稿では、短期連載全4回の最終回として、両氏から飛び出した具体的な提言に迫ります。

竹中平蔵氏と林尚弘氏が日本経済改革について対談する様子竹中平蔵氏と林尚弘氏が日本経済改革について対談する様子

地方議会は「PTAレベル」で十分か?歳出削減への提言

林氏が「地方議会はいらない」と述べた意見に対し、竹中氏も同調し、思い切った地方議会改革の必要性を訴えました。氏は、区や小さな市においては議会そのものを不要とし、代わりに「タウンマネージャー」を置くべきだと提言します。仮に議会を存続させるとしても、PTAと同様の形態、すなわち「土日と夜間に開かれ、普通の職業を持つ人々が議員となる」形にすべきだとしています。これにより、大幅な歳出削減が見込まれると指摘しました。

成果評価への転換:労働市場改革と「残業代ゼロ」論争

日本経済の停滞を打破するためには、抜本的な規制緩和が不可欠であると竹中氏は強調します。Uberのようなシェアリングエコノミーの推進に加え、農業改革や労働市場改革の重要性を挙げました。特に労働市場に関しては、金銭解雇のルールを明確にし、仕事の評価軸を「時間」から「成果」へと転換すべきだと主張します。ホワイトカラーのサラリーマンも基本的には成果で評価されるべきであり、それが在宅勤務などの柔軟な働き方を促進すると述べました。しかし、この議論には常に「残業代ゼロ法案だ」「カネで首を切るのか」といった反発がつきまとうことも認識しています。

日本の停滞を破る「禁断のシナリオ」:総理が“司会者”となり国民投票へ

林氏は、竹中氏が提唱するような大規模な改革(郵政民営化でさえ一つの内閣を要した)を実現することは極めて困難であるとの認識を示し、自身の「禁断のシナリオ」を披露しました。林氏がもし総理大臣になったら、自らが「テレビ番組の司会者」のような役割に徹し、個々の改革案について賛否を国民に直接問いかける「国民投票」を提案するというものです。例えば、「お給料を上げるには、会社が人を解雇しやすくするといいらしいですよ。でも、クビになるのは怖いですよね。さあ、どっちがいいですか?」といった形で、具体的な改革の是非を国民の判断に委ねることで、政治的な反発を回避し、停滞を打破する意図があるとしています。

結論

竹中平蔵氏と林尚弘氏の対談は、日本経済が直面する長年の停滞に対し、従来の枠組みにとらわれない大胆かつ具体的な改革案が不可欠であるという強いメッセージを発しています。地方議会のあり方から労働市場の構造、さらには政策決定のプロセスそのものに至るまで、両氏の提言は国民的な議論を促し、閉塞感漂う日本社会に新たな視点を提供します。これらの「究極の改革」や「禁断のシナリオ」は、日本の未来を真剣に考える上で避けて通れない重要な論点となるでしょう。


参考文献