久留里線一部区間廃止の衝撃:交通手段の変化と地域への影響

久留里線の一部区間廃止が発表され、地域住民や鉄道ファンに衝撃が走っています。この記事では、久留里線久留里~上総亀山間の廃止決定の背景、地域社会への影響、そして今後の交通体系について詳しく解説します。

輸送密度92%減:路線廃止の背景

JR東日本は、久留里線久留里~上総亀山間の利用者数が激減していることを理由に、バス等を中心とした新たな交通体系への移行を発表しました。1987年度には823人だった1日輸送密度が、2023年度にはわずか64人にまで落ち込み、実に92.2%もの減少となっています。これは沿線人口の減少率をはるかに上回るペースです。

久留里線の様子久留里線の様子

人口減少とモータリゼーションの影響

久留里線沿線地域の人口減少も深刻な問題です。1965年から2024年10月末までの間に、君津市上総地区の人口は約63.5%減少しました。しかし、輸送密度の減少率は人口減少率の2倍以上であり、他の要因が影響していることが分かります。

その要因の一つとして、モータリゼーションの進展が挙げられます。自家用車の普及により、鉄道の利用者は減少傾向にあります。

東京湾アクアライン開業の影響

1997年に開通した東京湾アクアラインは、久留里線沿線地域に大きな変化をもたらしました。都心へのアクセスが容易になったことで、若い世代の都心への流出が加速し、鉄道利用の減少に拍車をかけました。

木更津駅前の様子木更津駅前の様子

自動車と鉄道の所要時間比較

上総亀山駅から東京駅までの所要時間を比較すると、自動車の方が鉄道よりも大幅に短いことが分かります。鉄道は遠回りで時間がかかるため、利便性の面で劣っているのが現状です。高速バスの運行も、鉄道利用者の減少に影響を与えていると考えられます。

例えば、亀山温泉ホテルの鴇田英将社長によると、宿泊客の8割が自家用車、1割が高速バス、そして鉄道利用者はわずか1割とのことです。これは、鉄道が地域住民の主要な交通手段ではなくなっていることを示しています。

今後の交通体系と地域への課題

久留里線の一部区間廃止は、地域住民の生活に大きな影響を与える可能性があります。特に、高齢者や自動車を運転できない人にとっては、移動手段の確保が重要な課題となります。自治体は、バス路線の拡充など、代替交通手段の確保に早急に取り組む必要があります。

また、地域経済への影響も懸念されます。鉄道の廃止は観光客の減少につながる可能性があり、地域活性化に向けた新たな取り組みが求められます。

まとめ

久留里線一部区間廃止は、人口減少、モータリゼーションの進展、そして東京湾アクアライン開業など、様々な要因が複雑に絡み合った結果です。今後の交通体系の整備、地域経済への対策など、多くの課題が残されています。地域住民、自治体、そしてJR東日本が協力し、持続可能な地域社会の実現に向けて取り組むことが重要です。