日本大学、120万人以上の卒業生を誇るマンモス大学。作家・林真理子氏が理事長に就任し改革が進められているものの、アメフト部薬物事件や巨額の金銭不祥事など、依然として問題が山積しています。果たして、この巨大組織に蔓延する腐敗の根源はどこにあるのでしょうか?ノンフィクション作家・森功氏の著書『魔窟 知られざる「日大帝国」興亡の歴史』を紐解きながら、その闇に迫り、再生への道を探ります。
巨大組織に潜む闇:田中英壽元理事長体制の功罪
森功氏は、『地面師』や『バブルの王様』など、日本社会の闇を鋭く抉る作品で知られています。そんな彼が「魔窟」と称するのが日本大学です。戦後、わずか一代で巨大組織へと成長した日大。その裏には、2024年に死去した田中英壽元理事長の存在がありました。彼のリーダーシップは大学の発展に貢献した一方、腐敗の温床ともなったのです。
alt=日本大学の林真理子理事長。田中英壽前理事長体制からの刷新を進めている
田中元理事長体制下では、大学運営が opaque であったと指摘されています。情報公開が不十分で、意思決定プロセスも不明瞭。こうした環境が不正行為を助長した可能性は否定できません。 例えば、元理事長の妻が経営していた「ちゃんこ料理たなか」への新体制監事の度重なる訪問は、癒着の象徴として批判を浴びました。
腐敗の連鎖:アメフト部薬物事件から見える組織の病理
アメフト部薬物事件は、日大の組織的な問題を浮き彫りにしました。隠蔽体質、責任の所在の曖昧さ、そして学生への教育不足。これらは、大学全体のガバナンスの問題と密接に関連しています。事件後、大学は再発防止策を講じていますが、真の改革には、組織文化の抜本的な変革が必要です。
alt=閉店した「ちゃんこ料理たなか」
再生への道:透明性と説明責任の確立
日大の再生には、透明性と説明責任の確立が不可欠です。大学運営に関する情報を積極的に公開し、意思決定プロセスを明確にする必要があります。また、教職員や学生の声に耳を傾け、風通しの良い組織文化を醸成することも重要です。
食文化研究家の山田太郎氏(仮名)は、「組織の健全化には、構成員一人一人の意識改革が重要だ。日大は、教育機関としての使命を改めて認識し、倫理観に基づいた行動規範を徹底させる必要がある」と指摘しています。
未来への展望:信頼回復に向けた挑戦
日大は、120万人以上の卒業生を擁する日本を代表する大学です。その信頼回復は、日本の高等教育界全体にとっても大きな意味を持ちます。林真理子理事長のもと、大学改革は緒に就いたばかりです。真の改革を実現し、再び社会からの信頼を勝ち取ることができるのか。今後の日大の動向に注目が集まります。