日本の私立大学で蔓延するモラルハザード:Fランク大学の実態と大学ビジネスの闇

少子化を逆手に取る大学ビジネス

近年、日本の私立大学、特に偏差値の低いFランク大学において、モラルハザードが問題視されています。少子化が進む中、生き残りをかけて学生集めに奔走する大学の姿は、教育機関としての本来の姿からかけ離れていると言えるかもしれません。

大学の講義風景大学の講義風景

東大授業料値上げの波紋

2024年9月、東京大学が20年ぶりの授業料値上げを発表し、大きな議論を呼びました。家計負担の増加を懸念する声がある一方で、少子化による大学進学率の変化や、大学運営の現状を踏まえる必要があるとの意見も出ています。

1970年代には20%程度だった大学進学率は、2024年度には55%に達し、2035年には大学受験者が入学定員を下回る「大学全入時代」が予測されています。

大学の図書館で勉強する学生大学の図書館で勉強する学生

しかし、大学全入時代が近づくなか、すべての大学が人気を集めているわけではありません。実際には、約6割の私立大学が定員割れに苦しんでおり、大学間の二極化が進んでいます。

Fランク大学の実態:義務教育レベルからの教育

特に深刻なのは、偏差値35未満の「ボーダーフリー大学」と呼ばれるFランク大学です。ほとんどのFランク大学が事実上の全入状態であり、「名前を書けば合格」と言われるほど入学基準が低いと言われています。

大学の入学式大学の入学式

学生の学力レベルも低く、高校や中学レベルの学習内容が身についていない学生も少なくありません。そのため、中にはbe動詞や分数の計算、原稿用紙の使い方といった、義務教育レベルからの授業を余儀なくされる大学もあるようです。

大学は本来、高度な教育や研究の場であるべきですが、Fランク大学では利益を優先するあまり、教育の質が低下しているという指摘もあります。

大学ビジネスの闇:利益優先と就職難

大学運営を「ビジネス」と捉え、利益を追求する経営者が増えていることが、Fランク大学問題の背景にあると指摘する声もあります。

大学問題に詳しいジャーナリストの田中圭太郎氏は、「山梨学院大学のように、利益を重視し、研究機関としての役割を放棄する大学が増えている」と指摘します。

関西圏のFランク大学元職員のA氏によると、「文系学部は設備投資が少なく、高額な学費を設定しても理系学部より安く見えるため、利益率が高い」といいます。しかし、その一方で「就職活動は厳しく、ブラック企業に就職する学生も多い」という現実も。

まとめ

少子化を背景に、日本の私立大学、特にFランク大学では、学生集めのためのモラルハザードや、利益優先の大学運営が問題となっています。大学は本来、学問の府として、未来を担う人材育成という重要な役割を担っています。しかし、現状ではその役割を果たせていない大学も少なくありません。真に学生のためになる大学教育とは何か、改めて考え直す必要があるのではないでしょうか。