渋谷。かつては若者の街の代名詞として、流行の発信地として、多くの人々を魅了してきた街。しかし近年、「渋谷は若者の街ではなくなった」という声を耳にするようになりました。果たして本当にそうなのでしょうか?この記事では、渋谷の変遷を辿りながら、その魅力の核心に迫ります。
若者の聖地から多様性を受け入れる街へ
かつて渋谷の街を彩っていたのは、制服姿の学生や流行を追いかける若者たちの姿でした。しかし現在、街を歩くと外国人観光客やカジュアルな服装のビジネスパーソンなど、多様な人々の姿が目につきます。渋谷センター商店街振興組合の理事は、「”若者の街でなくなった”というより、時代の変化とともに、幅広い年齢層の方々や外国人の方々が来街するようになった」と語っています。渋谷は若者を排除したのではなく、多様性を受け入れる街へと進化を遂げているのです。
渋谷のスクランブル交差点を歩く様々な人々
80~90年代、情報発信都市としての渋谷
1970年代、渋谷パルコや109などの商業施設の開業を皮切りに、渋谷は音楽、ファッション、アートなどのトレンド発信地として確固たる地位を築きました。寛容な雰囲気と情報感度の高さは、多くの若者を引き寄せ、独自の文化を形成していきました。 グルメライターの山田花子氏は、「80~90年代の渋谷は、まさにエネルギーに満ち溢れた街でした。新しい文化が次々と生まれ、若者たちは自由な発想で未来を切り開こうとしていたのです。」と当時を振り返ります。
再開発が進む渋谷の街並み。高層ビルと昔ながらの商店街が共存する
再開発と進化、そして未来へ
2000年代に入ると、渋谷駅周辺の大規模再開発が始まりました。「オトナ発信地」をコンセプトにした渋谷マークシティのオープンを皮切りに、渋谷ヒカリエ、渋谷スクランブルスクエアなど、高層ビルが次々と建設されました。都市計画の専門家、佐藤一郎氏は、「再開発によって渋谷は大きく変貌しましたが、これは時代の流れに合わせた必然的な変化と言えるでしょう。重要なのは、古い街並みを残しつつ、新しい要素を取り入れることで、より魅力的な街へと進化させることです。」と述べています。渋谷は、常に変化を恐れず、未来へと歩み続けているのです。
渋谷センター商店街振興組合の理事は、渋谷の魅力について、「駅を中心とした円状の地形構造により、人々が自然と集まりやすく、回遊しやすい点が魅力。大規模開発の中でも、センター街や道玄坂などの商店街が、高層ビルとうまく調和している点が、多くの年齢層や外国人にも愛されている理由」と分析しています。渋谷は、若者の街から、多様な人々が集い、交流する街へと進化を遂げました。進化し続ける渋谷の未来に、さらなる期待が寄せられています。