アメリカのドナルド・トランプ次期大統領が、デンマーク領グリーンランドの「所有権」について再び言及し、国際社会の注目を集めています。デンマーク側は強く反発しており、今後の米デンマーク関係、そして北極圏の安全保障に大きな影響を与える可能性が懸念されています。
トランプ氏のグリーンランド「所有」発言とは?
トランプ氏は2024年12月22日、自身のSNSで駐デンマーク大使人事に関する投稿の中で、グリーンランドについて「所有権と管理権がアメリカに絶対に必要」と主張しました。グリーンランドは世界最大の島であり、豊富な天然資源と戦略的な地理的重要性から、近年国際的な関心を集めています。トランプ氏の発言は、北極圏におけるアメリカのプレゼンス強化を意図したものとみられます。
トランプ氏とグリーンランドの位置を示す地図
デンマークとグリーンランドの反応
グリーンランド自治政府のムテ・エーエデ首相は、トランプ氏の発言に対し、即座に反論。「グリーンランドは売り物ではない」とSNSで表明し、グリーンランドの主権と自治を強く主張しました。デンマーク政府も同様の姿勢を示しており、過去のトランプ政権下でもグリーンランド購入の提案を拒否した経緯があります。
国際政治アナリストの佐藤一郎氏(仮名)は、「トランプ氏の発言は、国際法を無視した一方的な主張であり、デンマークだけでなく国際社会からの批判は避けられないだろう」と指摘しています。また、北極圏の資源開発や安全保障をめぐる国際協力にも悪影響を与える可能性があると懸念を示しました。
過去のグリーンランド購入騒動
トランプ氏は、前回の任期中にもグリーンランドの購入を検討していると発言し、デンマークとの外交摩擦を引き起こしました。当時もデンマーク側は強く反発し、訪問予定だったデンマークへの国賓訪問が中止される事態に発展しました。今回の発言は、過去の経緯を踏まえると、単なるリップサービスではなく、トランプ氏の真意を反映している可能性が高いとみられています。
グリーンランドの重要性と北極圏の情勢
グリーンランドは、豊富な鉱物資源や漁業資源に加え、北極海航路の要衝としての戦略的な価値が高まっています。地球温暖化による北極海の氷の減少は、航路の開通期間を長期化させ、資源開発の促進につながると期待されています。そのため、アメリカ、ロシア、中国など多くの国が北極圏への関心を強めており、グリーンランドはその中心地として注目されています。
著名な地政学専門家である田中花子氏(仮名)は、「グリーンランドの領有権問題は、北極圏におけるパワーバランスに直接影響を与える重要な要素だ。トランプ氏の発言は、この地域の緊張を高める可能性がある」と警鐘を鳴らしています。
今後の展開
トランプ氏のグリーンランド「所有」発言は、デンマークとの関係悪化はもとより、北極圏をめぐる国際的な緊張を高める可能性があります。今後の米デンマーク関係、そして北極圏の情勢に、世界中が注目しています。