2020年東京五輪・パラリンピックに向けて、東京都は30日、今夏に行われた各競技のテスト大会の検証結果を発表した。問題の暑さ対策では、テスト大会期間中に観客らに熱中症患者が実際に出たこともあり、本番でも複数の患者が出ることを想定。より効果的な救護所の設置や、適切な救護体制の検討が必要と判断した。
検証したテスト大会は6月~9月にかけて、本番と同様の競技会場などで実施されたマラソンやボートなど計22競技。暑さ対策では、テントによる日よけと送風機を組み合わせた場合、「暑さ指数」が低減して効果が高く、利用者からも好評だったと総括した。
また、猛暑の中で、首元を冷やすネッククーラーや、かち割り氷を観客に配ったところ、8割以上から高評価が得られた。
ただ、ミストシャワー(噴霧器)は、周囲の湿度が上がることもあり、専門家からは「人が滞留する場所では注意が必要」などの意見があった。今後は、テント、送風機、給水設備を「基本的仕様」とした上で、競技会場近くの沿道施設などの協力を得て冷房が効いたエリア「クールシェア」を新たに設置することも予定している。
観客の輸送の点では、ボート競技(8月7~11日)を実施した際、悪天候で競技時間の前倒しが発生したが、それを想定した計画を準備していたことで、スムーズなバスの輸送を実現した。車いすの利用者への乗車では、傾斜が急だったが、ボランティアスタッフの支援で大きなトラブルはなかったという。
今後は、競技会場へアクセスするバス停などで、「○分後にバスに乗車できる」など、観客向けに丁寧にバスの到着時間を知らせる具体的な案内を行うことで、観客のストレスがない誘導方法も検討していくという。