ラサール石井氏、参院選出馬で物議醸す 『こち亀』利用から過去の炎上発言まで

社会民主党の福島瑞穂党首がX(旧Twitter)に投稿した一枚の画像が、ネット上で大きな波紋を呼んでいます。それは、タレントでコメディアンのラサール石井氏が、人気アニメ『こちら葛飾区亀有公園前派出所』(通称『こち亀』)の両津勘吉に扮した自身の写真やアニメイラストにサインをする姿を捉えたものでした。来る7月20日の参議院選挙に社会民主党から比例代表として立候補するラサール石井氏の選挙活動を巡るこの投稿は、『こち亀』の政治利用ではないかとの批判を招き、彼の過去の度重なる失言問題にも再び注目が集まっています。

参議院選挙への出馬で注目されるラサール石井氏参議院選挙への出馬で注目されるラサール石井氏

ラサール石井氏の政治活動と異色の経歴

ラサール石井氏は、7月20日に投開票される参議院選挙に社会民主党の公認候補として比例代表区から出馬します。鹿児島県のラ・サール高等学校を卒業後、早稲田大学に進学したという異色の経歴を持ち、大学では演劇に没頭するあまり単位不足で除籍処分となります。その後、渡辺正行、小宮孝泰とともに結成したお笑いトリオ「コント赤信号」として1980年にデビューし、『オレたちひょうきん族』(フジテレビ系)へのレギュラー出演で全国的な人気を獲得しました。特に、1996年から2004年まで放送されたテレビアニメ『こちら葛飾区亀有公園前派出所』では、主人公・両津勘吉の声優を長年務め、原作者の秋本治氏からも絶賛されるなど、その代表作の一つとして広く知られています。

『こち亀』プロモーションが招いた批判の嵐

ラサール石井氏の事務所は、選挙運動の開始を告げるXの投稿で、「7月13日。「両津」ゆかりの地である、亀有からスタートします」と発信しました。これは、ラサール石井氏の代名詞ともいえる『こち亀』を使い、街頭演説の場所を宣伝する意図があったことは明白です。これに対し、前述の福島党首の投稿も含め、SNS上では瞬く間に批判の声が噴出しました。具体的には、「両さんを利用しないでちゃんとラサール石井で勝負して下さい」「『こち亀』政治利用すんのやめろよ。秋本さんに許可取ってるんか?」「葛飾区民として絶対に許せない。『こち亀』は葛飾区民の誇りなのにそれを汚した」といった意見が相次ぎ、作品への愛着を持つファンからは、キャラクターや作品の世界観が政治活動に利用されることへの強い拒否感が示されました。

福島瑞穂氏がXに投稿した『こち亀』の両津勘吉イラストにサインをするラサール石井氏福島瑞穂氏がXに投稿した『こち亀』の両津勘吉イラストにサインをするラサール石井氏

繰り返される失言問題:過去の炎上発言とその影響

『こち亀』利用を巡る騒動に加え、ラサール石井氏は過去にも度々、その発言が物議を醸し、”炎上”する経験をしています。

浅田真央選手への不適切発言

2011年5月、ラサール石井氏はXでフィギュアスケートの浅田真央選手に対し、「浅田真央ちゃんは早く彼氏を作るべき。エッチしなきゃミキティやキムヨナには勝てないよ。棒っ切れが滑ってるみたい。女になって表現力を身に付けて欲しい。オリンピックまでにガッツリとことん!これは大事」と投稿し、セクハラであるとの批判が殺到しました。この発言は大きな騒動となり、結果的に本人が謝罪し、撤回するに至りました。

能登半島地震に関する誤情報拡散

記憶に新しいところでは、2024年1月に発生した能登半島地震の際にも同様の事態が起こりました。当時の岸田文雄首相が被災者に対し、ホテルや旅館への二次避難を呼びかけたことに対し、ラサール石井氏はXで「被災者にそんな金あるか。だったらあんたが金を出して、旅館やホテルを借り上げ避難民を移動させろ」と批判的な投稿を行いました。しかし、実際には政府がホテルや旅館を避難場所として借り上げており、被災者はほとんどの場合無料で利用できる体制が整っていたため、「誤情報を流した」として再び非難の的となりました。この件に関しても、後にラサール石井氏が謝罪し、投稿を撤回しています。

これらの繰り返される失言歴は、彼の政治家としての適格性に疑問符を投げかけています。もし当選すれば、「お騒がせ議員」となる可能性も指摘されており、その動向が注目されます。

結論:有権者の判断はいかに

ラサール石井氏の参議院選挙出馬は、彼自身の著名なキャリアと、それに付随する数々の話題性、そして過去の言動が複雑に絡み合い、各方面で議論を巻き起こしています。『こち亀』という国民的IPの利用、そして度重なる炎上発言の歴史は、有権者が彼にどのような評価を下すかに大きく影響するでしょう。はたして、ラサール石井氏は今回の選挙で当選を果たすことができるのでしょうか。その答えは、有権者の判断に委ねられています。