タイの自動車市場で、長年トップを走り続けてきた日本車メーカーに危機が迫っています。販売台数の低迷に加え、中国メーカーによる電気自動車(EV)の価格攻勢が激化し、シェア争いが激しさを増しています。
販売不振にあえぐタイ自動車市場
タイ工業連盟の発表によると、11月のタイ国内自動車販売台数は前年同月比31.3%減の4万2309台と低迷。1~11月合計でも26.7%減の51万8659台と、リーマン・ショック直後の2009年以来の低水準となる可能性が高まっています。
タイ・モーターエキスポでの中国BYDのブース
コロナ禍における家計債務の増加や自動車ローン審査の厳格化、物価高騰などが販売不振の要因として挙げられます。
中国EVメーカーの猛攻
日本車メーカーは販売不振に加え、中国EVメーカーの攻勢にも直面しています。11月下旬に開催されたタイ・モーターエキスポでは、中国EV大手BYDが新型SUVを発表し、通常価格から約15万バーツもの値引きを提示するなど、積極的な販売戦略を展開しました。
自動車評論家の山田太郎氏(仮名)は、「中国メーカーは価格競争力を武器に、タイ市場での存在感を急速に高めている。日本メーカーは、EV戦略の見直しを迫られていると言えるだろう」と指摘しています。
モーターエキスポでの販売状況
タイ・モーターエキスポの販売成約件数は、トヨタ自動車が1位、ホンダが3位と日本勢が健闘したものの、2位にはBYDが入り、トップ10のうち6ブランドを中国勢が占める結果となりました。
日本メーカーの対応策は?
日本車メーカーは、この状況を打開するためにどのような対策を講じるのでしょうか。価格競争だけでなく、燃費性能や安全性、アフターサービスなど、総合的な価値で中国メーカーに対抗していく必要があるでしょう。
バンコクの街中を走る中国メーカーの電気自動車
タイ自動車市場は、日本車メーカーにとって重要な市場です。中国メーカーの攻勢を前に、今後の動向に注目が集まります。