安倍晋三元首相が2022年に奈良市で演説中に撃たれ死亡した事件で、殺人罪などに問われている山上徹也被告(45)の公判が奈良地裁で行われている。11月13日に開かれた第7回公判からは弁護側の証人尋問が行われており、被告人の犯行動機の解明に向け関心を集めている。
山上被告は逮捕後の取り調べで「母親が旧統一教会にのめりこみ、多額の借金をして家庭が崩壊した」「教団とつながりがあると思った安倍氏を狙った」と供述していたとされる。この日、弁護側の証人として出廷した山上被告の母は、事件後も統一教会への信仰を続けていることを明かした。
弁護人 「今、なにか信仰はありますか?」
母親 「世界平和統一家庭連合です」
弁護人 「それは旧統一教会のことですか?」
母親 「そうです」
公判を傍聴した鈴木エイト氏が語る。
「山上被告の母親は1991年8月に入信し、その月末に2000万円、翌年の3月に3000万円を献金したことなどを証言しました。その際の献金は、1984年の被告人の父が自殺した際に下りた保険金6000万円から出したと言います。
その後も父親から継いだばかりの自宅など全資産の4000万円を献金していたことが示され、リアルな献金事情が明かされた。証言中、母親は決して旧統一教会のせいにすることはなく、山上被告はその証言を険しい表情で聞いていました」
山上被告には兄と妹がいた。弁護人の証拠調べでは、山上被告が家族と交わしていたメールのやり取りが公開された。前出・鈴木氏が続ける。
「メールは山上被告の送信ボックス、受信ボックス、未送信ボックスに残っていたものから主だったものが抜粋して読み上げられました。メール全文やその日時など詳しくは裁判長や裁判官、裁判員、検察官のみが配布された書面で見られる状況となっていた。
母親には、旧統一教会への献金や、教団本部を訪ねるために渡韓することについて『カネはどうするのか』などと厳しく糾弾していたのが印象的でした。のちに自殺してしまった兄ともお金のことや家庭のことについてやり取りをし、時には兄を責めるような強い口調のメッセージもありました」






