【能登半島地震復興の現状】1年経っても終わらない瓦礫処理、解体作業員の厳しい現実

能登半島地震から1年が経とうとしていますが、珠洲市をはじめとする被災地では、いまだ多くの倒壊家屋や瓦礫が残る厳しい現実があります。復旧作業の遅延はなぜ起こっているのでしょうか。今回は、実際に現場で奮闘する解体作業員の視点から、その現状に迫ります。

瓦礫処理の最前線:仮置き場の深刻な渋滞

2024年12月24日時点で、珠洲市では5573棟もの住宅が被害を受けました。復旧の第一歩である建物の解体と撤去は、全体の半分程度しか完了していません。その現状を象徴するのが、がれきの仮置き場です。東京ドーム約2.5個分もの広大な敷地を埋め尽くすがれきの山。仮置き場周辺では、搬入を待つ大型車両の長蛇の列が日常化しています。

仮置き場へと続く大型車両の渋滞仮置き場へと続く大型車両の渋滞

朝は3キロにも及ぶ渋滞が発生し、作業員たちは貴重な時間を待ち時間で浪費せざるを得ない状況です。日没後の作業は危険を伴うため、仮置き場は夜間閉鎖されます。そのため、作業員は前日に出たゴミの処理から一日が始まり、午前中を渋滞に費やすことも少なくありません。

仮置き場内でも続く待ち時間:分別作業の負担

仮置き場内では、金属類、コンクリート、畳など11項目に分別する必要があり、この作業も大きな負担となっています。高速道路の渋滞さながらに、1台ずつしか動けない状況が続き、廃棄作業にも多くの時間を要しています。

遠方からの作業員の負担:往復5時間の移動

金沢方面から来る作業員もおり、往復に5時間もの時間を費やすケースも。作業時間は削られ、能登での作業を断念せざるを得ない業者も出ているという厳しい現実があります。

仮置き場で分別作業を待つトラック仮置き場で分別作業を待つトラック

復興への道のりは遠く:課題解決への模索

能登半島地震の復旧は、瓦礫処理の遅延という大きな壁に直面しています。仮置き場のキャパシティ不足、分別作業の煩雑さ、遠方からの作業員の負担など、様々な要因が絡み合い、復興への道のりは遠く険しいものとなっています。一刻も早い復旧に向けて、関係機関による効率的な処理体制の構築、作業員の負担軽減策などが求められています。

専門家A氏(災害復旧コンサルタント)は、「仮置き場の増設や、分別作業の簡素化、宿泊施設の確保など、多角的な対策が必要だ」と指摘しています。また、被災地への支援物資の輸送やボランティアの受け入れ態勢の整備も急務と言えるでしょう。

珠洲市をはじめとする被災地の復興には、長期的な視点に立った継続的な支援が不可欠です。私たちは、被災地の現状を理解し、復興への取り組みを応援していく必要があります。