イタリア北部ベネト州のビチェンツァ地方裁判所は26日、PFAS(ピーファス)と呼ばれる有機フッ素化合物の汚染を巡る三菱商事の現地関連会社「ミテニ」の裁判で、元幹部ら計11人に有罪判決を言い渡した。日本人3人を含む被告らに拘禁刑が科され、三菱商事側の責任も認められ、住民や自治体への損害賠償が命じられた。
個人への刑事判決の詳細
この裁判では、問題発生当時の関連会社の取締役などを務めていたミテニの元幹部や技術者ら計11人が有罪となり、拘禁刑は2年8カ月から17年6カ月だった。起訴された日本人4人のうち3人が有罪判決を受け、うち2人にはそれぞれ懲役16年、1人には懲役11年が言い渡された。残る日本人1人は無罪だった。
イタリア・ビチェンツァの裁判所で判決を言い渡す裁判長
企業責任と被害者への賠償命令
裁判所は、PFASによる水質汚染に対する三菱商事の関連会社ミテニの責任を認定し、公判に参加した市民ら個人やベネト州、工場があった自治体などへの損害賠償を命じた。さらに、有罪となった被告全員に対し、イタリア環境省など国側へ約5700万ユーロ(日本円で約96億円)の賠償を命じた。
イタリア・ビチェンツァの裁判所前に掲げられたPFAS汚染対策を訴える横断幕
汚染の背景と住民影響
この問題は、ベネト州当局が2013年、州中部の自治体で繊維業向けなどのPFASを製造するミテニ工場を流出源と特定したことに始まる。広範囲に及ぶ地下水や河川の汚染を引き起こした。州当局推計では、州内3県の計35万人が汚染された水道水や地下水の影響を受けた。その後の調査で、住民のPFAS**血中濃度**が基準値を大幅に上回ることが相次ぎ、深刻な事態となっている。
結論
今回のイタリアでのPFAS**汚染裁判は、企業活動による環境汚染の責任を厳しく問うものとなった。元幹部らへの拘禁刑と企業側への巨額損害賠償命令は、長期にわたる住民の苦しみと汚染**に対する司法判断を示している。
[出典] 朝日新聞社
[記事元] https://news.yahoo.co.jp/articles/330158e169a41d946d2a63004d30072b157282d8