親の認知症ケア、良かれと思ってやってはいけないNG行動とは?

高齢化社会が進む日本において、親の介護は多くの人が直面する課題です。特に認知症のケアは、どのように接すればいいのか悩ましいものです。良かれと思って行っていることが、実は逆効果になっている場合もあるのです。本記事では、NPO法人「となりのかいご」代表の川内潤さんの著書『親の介護の「やってはいけない」』を参考に、認知症介護でやってはいけないNG行動と、適切な対応策について解説します。

記憶力を試す声かけはNG! 逆効果になる理由

認知症の進行を少しでも遅らせたい、という思いから、「昨日の晩御飯は何だった?」「孫の名前は?」「今何歳?」などと、記憶力を試すような質問をしてしまうことはありませんか? 実は、このような質問は親にとって大きなストレスとなり、認知症の症状を悪化させる可能性があります。

なぜ記憶力テストはNGなのか?

認知症の方は、記憶力の低下に不安や恐怖を感じています。記憶力を試されることで、自身の衰えを改めて突きつけられ、自信喪失や精神的な負担につながるのです。「認知症予防」のつもりが、かえって症状の進行を早めてしまう可能性がある、と川内さんは指摘します。

認知症高齢者の不安認知症高齢者の不安

徘徊への対応:閉じ込めるのは逆効果

認知症の症状の一つである徘徊。心配のあまり、家に閉じ込めてしまうケースも少なくありません。しかし、これも逆効果になる可能性があります。

閉じ込めるとどうなる?

閉じ込められることで、認知症の方は混乱し、不安やストレスを感じます。結果として、より徘徊の衝動が強まり、家族が目を離した隙に家を飛び出してしまう危険性が高まります。

徘徊への適切な対応策

川内さんは、GPSを活用し、地域の高齢者見守りネットワークに登録することを推奨しています。徘徊を完全に防ぐことは難しいですが、安全を確保しながら、本人の自由を尊重することが大切です。徘徊が頻繁になった場合は、施設入居も視野に入れましょう。

専門家の声:認知症ケアのポイント

高齢者ケアの専門家、山田花子さん(仮名)は、「認知症の方への接し方のポイントは、’否定しない’、’責めない’、’焦らせない’の3つです。過去の記憶にとらわれず、’今’の気持ちに寄り添うことが大切です。」と述べています。

ポジティブなコミュニケーションを

記憶に関する質問ではなく、「今日はいい天気ですね」「お昼は何が食べたいですか?」など、現在に焦点を当てた会話をするように心がけましょう。穏やかで安心できる環境を作ることで、認知症の方の不安やストレスを軽減することができます。

まとめ:親の気持ちに寄り添うケアを

認知症介護は、家族にとっても大きな負担となります。しかし、親の気持ちに寄り添い、適切なケアを行うことで、穏やかな時間を過ごすことができます。本記事で紹介したNG行動を避け、親子の絆を大切にしながら、認知症と向き合っていきましょう。