イタリアで深刻な漁業被害をもたらしている外来種「アオガニ」が、新たな食材として注目を集めているのをご存知でしょうか?今回は、アオガニが引き起こす問題と、それを逆手に取ったイタリアの食文化の革新について詳しくご紹介します。
漁業に大打撃!アオガニの脅威
イタリアでは、アオガニ (ワタリガニの仲間) の異常繁殖により、漁業に深刻な被害が出ています。貝類やエビなどを捕食するだけでなく、養殖場の網を破損させるなど、その被害額は1億ユーロ(約164億円)にも上ると言われています。
alt_textイタリア国旗とアオガニ問題の深刻さを象徴するイメージ。
食材への活用で逆襲開始!アオガニの美味しさ発見
この厄介者を何とかしようと、イタリアのシェフたちはアオガニを使った様々な料理を開発しています。ベネチアのレストランでは、アオガニの身をすり身にして魚の形に揚げ、海藻やピューレを添えた斬新な一品が誕生。他にも、サラダやパスタなど、アオガニを使ったレシピは増加傾向にあります。
ミシュラン一つ星レストラン「ベニサ」では、環境問題への配慮からアオガニに着目。ニンニク、オイル、チリで味付けしたスパゲッティやサフランとの相性が抜群であることを発見しました。
アオガニ料理ブームの背景
アオガニ料理が人気を集めているのは、単に美味しいからだけではありません。アオガニの大量発生によって、他の海産物の価格が高騰しているという経済的な理由も大きく影響しています。「 necessity is the mother of invention(必要は発明の母)」ということわざにあるように、まさに逆境が生んだ食文化と言えるでしょう。
alt_textアオガニを食材として活用するイタリアンレストランの様子。
イタリア政府の対策と今後の展望
イタリア政府も、アオガニ問題に真剣に取り組んでいます。特別な網の設置や海底へのシート敷設、さらには超音波を使った駆除方法の研究など、様々な対策を講じています。また、アオガニの輸出も進めていますが、個体数を減らすにはまだ十分ではないのが現状です。
食品ロス削減の観点からも注目されているアオガニ料理。今後の展開に期待が高まります。