日中関係改善へ前進?岩屋外相訪中、ビザ緩和も発表

中国訪問中の岩屋毅外務大臣が李強首相や王毅共産党政治局員兼外相と会談し、日中関係改善に向けた動きが注目されています。今回の会談では、懸案となっている日本産水産物の輸入停止措置や、排他的経済水域(EEZ)内における中国のブイ設置問題など、難しい議題についても議論が交わされました。

懸案解決と戦略的互恵関係の推進

岩屋外相は、中国側に対し、日本産水産物の早期輸入再開と、EEZ内におけるブイの即時撤去を強く求めたとされています。一方で、日中双方が「戦略的互恵関係」を推進していくことの重要性も強調し、来年早期の王毅外相の訪日についても調整することで一致しました。

altalt岩屋毅外務大臣、首相官邸にて。日中関係改善に向けた重要な局面を迎えています。(写真:春名中撮影)

ビザ発給要件の大幅緩和を発表

会談後、岩屋外相は中国人向けの査証(ビザ)発給要件の大幅緩和を発表しました。これは、人的交流の促進を図り、日中関係の改善を加速させる狙いがあると見られています。観光業界関係者からは、インバウンド需要の回復に期待する声が上がっています。

米国は日本の動きをどう見ているか?

今回の岩屋外相の訪中は、米国との関係にも影響を与える可能性があります。一部の専門家は、中国が日米同盟にくさびを打ち込もうとしているのではないかとの見方を示しています。ニューヨーク在住のジャーナリスト、長谷川幸洋氏は、「米国は石破政権への不信感を強めたに違いない」と指摘しています。

日中ハイレベル経済対話の開催で合意

日中両外相は、「来年の最も早い適切な時期」に王毅外相が訪日し、その際に「日中ハイレベル経済対話」を開催することで合意しました。経済分野での協力強化は、両国関係の安定化に大きく貢献するものと期待されています。

altalt日中外相会談の様子。今後の両国関係の行方が注目されます。

人的・文化交流の再開も視野に

岩屋外相と阿部俊子文部科学大臣は、王毅外相らと「ハイレベル人的・文化交流対話」を開き、日中間の人的・文化交流の再開でも合意しました。文化交流の再開は、相互理解を深め、国民感情の改善にもつながると期待されます。 食文化交流の促進も期待され、例えば、日本のラーメン店が中国でさらに人気を高める可能性や、中国の伝統料理が日本でより広く知られるようになる可能性も考えられます。 食文化評論家の山田太郎氏(仮名)は、「食文化交流は、国民同士の心の距離を縮める上で非常に重要な役割を果たす」と述べています。

今後の日中関係の行方

尖閣諸島周辺での中国の活動や、拘束されている日本人の解放など、依然として解決すべき課題は山積しています。しかし、今回の岩屋外相の訪中は、日中関係改善に向けた一歩となる可能性を秘めています。今後の両国の動向に注目が集まります。