アゼルバイジャン航空機墜落事故：鳥衝突説に疑問符、真相解明へ

アゼルバイジャン航空の旅客機墜落事故。クリスマスの悲劇に世界が震撼しましたが、当初の鳥衝突説に疑問の声が上がっています。本記事では、事故の真相に迫り、様々な可能性を探ります。

事故の概要と当初の見解

12月25日、アゼルバイジャン首都バクー発、ロシア・チェチェン共和国グロズヌイ行きのアゼルバイジャン航空J2-8243便が、カザフスタン西部アクタウ近郊に墜落。乗客乗員67名のうち38名が犠牲となる痛ましい事故となりました。当初、ロシア連邦航空局は「渡り鳥との衝突」を原因と発表。機体が緊急事態に陥り、アクタウへの緊急着陸を試みたものの、墜落に至ったと説明しました。

墜落したアゼルバイジャン航空機

疑問点と新たな可能性

しかし、墜落地点が本来の航路から大きく逸脱していたことから、鳥衝突説への疑問が浮上。グロズヌイに向かうはずの航空機が、なぜカスピ海の反対側のアクタウに向かったのか。航空専門家からは「鳥衝突であれば、最も近い代替飛行場に向かうのが通常だ」との指摘が出ています。

ロシア・ウクライナ戦争の影響？

さらに、機体後部に多数の穴が発見されたことから、ロシア軍による誤認攻撃の可能性も囁かれています。航空専門家は、これらの穴が防空システムによる砲弾攻撃の痕跡と一致すると指摘。ウクライナ軍によるチェチェン共和国へのドローン攻撃の直後に墜落したことも、憶測を呼んでいます。

アゼルバイジャン航空機後部の損傷

GPS攪乱の可能性

また、AP通信は航空機航路追跡サイト「Flightradar24」のデータに基づき、航空機が強いGPS攪乱を受けた可能性を報じています。ロシアは過去にも広範囲でGPSを妨害した疑いが持たれており、この点も調査の焦点となっています。航空評論家の田中一郎氏は「GPS攪乱が墜落の直接的な原因となった可能性は否定できない。現代の航空機にとってGPSは非常に重要な役割を果たしており、その機能が阻害されれば、重大な事故につながる危険性がある」と述べています。