野党は4日召集の臨時国会で、9月に最終合意した日米貿易協定などを中心に政府・与党を厳しく追及する方針だ。ただ、衆参両院で統一会派を立ち上げたばかりの立憲民主党と国民民主党との間では早くも内紛が勃発。新体制のスタートと同時に同床異夢ぶりが露呈し、共闘の行方に不安を残した。(千田恒弥)
「与党は『憲法、憲法、憲法、憲法』(の審議をしよう)と言ってくるんでしょう。しかし、私はあえて言います。『関電、関電、関電』です」
立民の安住淳国対委員長は4日の統一会派の代議士会でこう強調し、関西電力役員らによる金品受領問題を軸に、政官業の癒着疑惑を追及する意向を示した。立民の枝野幸男代表は7日の代表質問で原発問題を取り上げる予定だ。
野党側は、一部で国内農家への影響が懸念される日米貿易協定や、文化庁による国際芸術祭「あいちトリエンナーレ2019」への補助金不交付なども追及テーマに設定する。
立民と国民の間で見解が分かれる憲法改正や消費税などは政策の意思統一をせず、深入りは避ける方針だ。
会派としての結束が注目されるなか、7月の参院選で立民と国民が激しく対立した参院側では、早くも仁義なき戦いが勃発した。
国会では3日夜、野党に割り振られた委員長ポストなどをめぐり、立民と国民の参院幹部が激しく対立した。両党が詳細な交渉を先送りしてきたのが原因とみられるが、召集日の前夜までポストが決まらないのは前代未聞の事態だ。感情的なしこりも残り、参院では4日の議員総会が立民と国民に分かれて開かれた。
立民の長妻昭代表代行は4日、記者団に「時が解決する」と楽観的に語ったが、「何をきっかけに一緒に行動できるのか全く見えない」(立民の参院中堅)のが実情だ。
与党は、こうした野党の混乱を冷めた目で見つめる。公明党の参院幹部は4日の党会合で「共同会派というが、立場と主義・主張にかなり違いがある。国民不在の権力争いをしている」と皮肉った。
立民と国民がポストの争奪戦を繰り広げていた3日夜、立民の衆院議員は東京・有楽町の街頭演説でこう訴えていた。
「安倍晋三政権のバラバラ作戦には絶対に乗らないこと。野党や市民をバラバラにし、分断社会を狙っている。そんな力に絶対に負けたくない」
参院自民党幹部は「この程度の野党なら怖くもなんともない」と余裕の表情を浮かべた。