視聴率低迷でも“豊作”?2024年ドラマ界の真の姿とは

2024年のドラマ界は、一見すると視聴率低迷の年だったように見えます。しかし、その裏側には新たな潮流が生まれており、関係者からは「豊作の年」という声も聞こえてきます。果たして2024年のドラマ界の実態はどうだったのでしょうか? 従来の視聴率という指標だけでは見えてこない、ドラマの新たな評価軸を探ります。

視聴率という指標の限界

近年、「テレビ離れ」という言葉が頻繁に聞かれるようになりました。確かに、リアルタイム視聴率は低下傾向にあり、中には記録的な低視聴率を記録したドラマもありました。例えば、清原果耶さん主演の『マイダイアリー』(テレビ朝日/ABCテレビ制作)は、世帯平均視聴率2.6%という厳しい結果に。NHK朝ドラ『おむすび』も歴代最低記録に迫る低視聴率となっています。

マイダイアリーの主演、清原果耶さんマイダイアリーの主演、清原果耶さん

しかし、これらの数字だけでドラマの成功を判断することは、もはや適切ではないかもしれません。

配信サービスの台頭と新たな評価軸

動画配信サービスの普及により、ドラマの視聴スタイルは多様化しています。リアルタイム視聴だけでなく、TVerやNHKプラスなどの配信サービスを利用する視聴者が増加しているのです。

例えば、NHK大河ドラマ『光る君へ』は、リアルタイム視聴率こそ低迷したものの、NHKプラスでの平均視聴UB(ユニーク・ブラウザ)は歴代最高を記録。主演の吉高由里子さん自身もSNSでこの結果を喜び、新たな評価軸の重要性を示唆しました。

前期の朝ドラ『虎に翼』も、リアルタイムとタイムシフト視聴を合わせた平均視聴率は、今世紀最高記録を更新しました。

大河ドラマ「光る君へ」主演の吉高由里子さん大河ドラマ「光る君へ」主演の吉高由里子さん

民放ドラマにおいても、『不適切にもほどがある!』や『離婚しない男―サレ夫と悪嫁の騙し愛―』など、配信で高い人気を集めた作品が多数存在します。これらの作品は、従来の視聴率という指標だけでは測れない成功を収めていると言えるでしょう。

多様化する視聴スタイルとドラマ制作の未来

あるベテランドラマプロデューサー(仮名:山田一郎氏)は、「視聴率だけに囚われず、多様化する視聴スタイルに合わせたドラマ制作が必要」と語ります。視聴者のニーズを的確に捉え、質の高いコンテンツを提供することが、今後のドラマ界の活性化に繋がるのではないでしょうか。

2024年のドラマ界は、視聴率低迷という表面的な数字とは裏腹に、新たな可能性を秘めた「豊作の年」だったと言えるかもしれません。配信サービスの台頭により、視聴者はより自由に、自分の好きな時間にドラマを楽しむことができるようになりました。この変化は、ドラマ制作のあり方にも大きな影響を与え、より多様で魅力的な作品が生まれる土壌となることが期待されます。