救急車のサイレンは、一刻を争う事態の象徴。しかし、その音が必ずしも真の緊急事態を告げているとは限りません。今回は、軽傷での119番通報という社会問題を取り上げ、救急車出動にかかる費用や現場の逼迫した状況、そして私たち一人ひとりができることについて考えてみましょう。
軽傷で119番…その背景にあるもの
飲食店で指を切った男性に詰め寄る救急隊員
「救急車 タクシー代わり」「救急車 罰金」「救急車 有料化」… SNSやニュースでは、救急医療に関する話題が後を絶ちません。2025年1月からは、フジテレビ系で清野菜名さん主演のドラマ「119 エマージェンシーコール」がスタート。119番通報を受ける管制室を舞台に、救急医療の現場のリアルな姿が描かれます。
漫画の世界でも、救急医療への関心は高まっています。2024年7月から連載開始された『イチイチキュ!!!』は、まさにその最前線で奮闘する救急隊員たちの物語。架空の地方都市「さいわい市」の消防署を舞台に、主人公の伊東めぐ隊長率いる3人チームが、様々な現場に駆けつけます。軽傷者、子どもの誤飲、独居老人の認知症、自殺未遂… 症状も緊急性も多様なケースを通して、現代社会の抱える問題が浮き彫りになっていきます。
1回の救急車出動…その費用は?
救急隊員がストレッチャーを運ぶ様子
『イチイチキュ!!!』の作者であるハトコ先生は、創作にあたって実際の救急隊員への取材を重ねました。「使命感を持って働く隊員の姿が印象的だった」と語るハトコ先生。作品を通して、「本当に救急車を必要としている人のために、適切な利用とは何か」を問いかけます。
冒頭で紹介した、飲食店で指を軽く切った男性のケース。この男性への救急隊の対応も気になるところですが、ここで注目したいのは、このような不要不急の119番通報にどれだけの税金が使われているかという点です。
日本では無料で利用できる救急車ですが、その出動には当然、税金が投入されています。救急隊員の人員や車両、医療機器… これらは全て限りある社会資源です。「119番の現実を知り、問題解決に繋げたい」というハトコ先生の願いに応えるためにも、私たちは救急車出動にかかるコストを認識する必要があります。
驚くべき金額…そしてその先にあるもの
救急隊員が患者の容態を確認している様子
救急車1回の出動にかかるコストは、想像以上に高額です。タクシーよりもはるかに高いその金額は、『イチイチキュ!!!』本編で確認することができます。
日本救急医学会の理事長(仮名:山田一郎氏)は、「救急車の適正利用は、私たちの社会全体の責任です。本当に必要な時に、必要な人が利用できるよう、一人ひとりが意識を高める必要があります。」と警鐘を鳴らしています。
軽傷で安易に119番通報をすることは、本当に助けが必要な人の命を危険にさらす可能性があります。救急車を呼ぶ前に、まずは落ち着いて自分の状況を判断し、適切な医療機関の受診を検討しましょう。
救急車を正しく利用するために
この記事を通して、救急車の適正利用について改めて考えていただければ幸いです。 命を守るための大切な資源を、未来へと繋いでいくために、私たち一人ひとりの行動が重要です。