2024年は、天皇陛下と彬子女王殿下の著作が大きな注目を集めた年となりました。英国留学時代の思い出をつづったお二人の書籍は、多くの人々の心を掴み、ベストセラーとなっています。本記事では、それぞれの著作の魅力と、気になる印税の使い道について迫ります。
英国留学時代の記憶を辿る:天皇陛下『テムズとともに』
alt_text(雅子皇后陛下と天皇陛下、オックスフォード大学名誉法学博士号授与式にて)
1983年から約2年間、オックスフォード大学で研究生活を送られた天皇陛下。その貴重な体験を綴った『テムズとともに』は、学習院創立125周年を記念して1993年に初版が出版されました。長らく入手困難でしたが、学習院創立150周年を記念し、2023年に新装版が刊行。天皇陛下自ら新たに後書きを書き下ろされたことでも話題となりました。
本書では、研究内容だけでなく、学友との交流や休日の過ごし方など、当時の日常生活が生き生きと描かれています。英国の文化や歴史に触れる中で、天皇陛下が何を思い、何を感じられたのか。読者はまるで自分も一緒に留学生活を送っているかのような感覚を味わうことができます。
2024年6月の天皇皇后両陛下の英国ご訪問も、本書への関心をさらに高めるきっかけとなりました。チャールズ国王との再会、そして雅子皇后陛下との“再訪”は、まさに歴史的な出来事。新装版は1ヶ月で10万部を超える大ヒットを記録し、改めて天皇陛下の人気の高さを感じさせます。
多言語版も出版!印税は寄付へ
『テムズとともに』は、2006年にはチャールズ国王が推薦文を寄せた英語版が、2020年にはポルトガル語版が出版されています。これらの印税は、英国における日本協会やブラジルのサンタ・クルス病院に寄付されているとのこと。国際親善にも貢献されていることが伺えます。
彬子女王殿下の等身大の姿:『赤と青のガウン』『京都ものがたりの道』
女性皇族として初めてオックスフォード大学で博士号を取得された彬子女王殿下。2015年に出版された留学記『赤と青のガウン オックスフォード留学記』は、SNSでの口コミをきっかけに2024年4月に文庫化され、30万部を超えるベストセラーとなりました。
留学生活の苦労や喜び、異文化への戸惑いなど、等身大の姿が描かれた本書。読者は、プリンセスの知られざる一面に触れることができます。飾らない言葉で綴られた文章は、若い世代を中心に共感を呼び、多くの読者を魅了しました。
また、2016年に出版された『京都ものがたりの道』も、2024年7月に新装版が刊行。研究活動の拠点である京都で感じられたことや、街の“通り”にまつわるエピソードが綴られています。京都の魅力を再発見できるだけでなく、彬子女王殿下の京都への深い愛情が伝わってくる一冊です。
印税の使い道は?
気になる印税の使い道ですが、宮内庁への問い合わせによると、天皇陛下、彬子女王殿下ともに金額や寄付先については公表されていないとのこと。皇室経済法に基づき、所得税の納税義務があることから、税金を納めた上で、それぞれの思い描く形で有意義に活用されていると考えられます。
皇室の方々の著作は、単なる読み物としてだけでなく、文化交流や社会貢献にも繋がる重要な役割を担っています。今後も、その活動に注目が集まることでしょう。