森友問題と元NHK記者の「禁断愛」疑惑:取材倫理に問われる真実

高い職業倫理が求められる報道界で、過去の「西山事件」は取材対象者との不適切な関係が問題となりました。それから半世紀余り、「森友学園問題」で名を馳せた元NHK記者、相澤冬樹氏に同様の疑惑が持ち上がっています。週刊新潮の報道によると、相澤氏が森友問題の重要人物である赤木雅子夫人と「禁断の関係」を持っていたとされ、ジャーナリズムの取材倫理が厳しく問われる事態となっています。

相澤冬樹氏と「森友問題」報道の功績

相澤冬樹氏(63歳)は、元NHK記者として数々のスクープを手掛け、現在はフリーのジャーナリストとして活動しています。彼を一躍世に知らしめたのは、2020年3月26日号の「週刊文春」に掲載された署名記事でした。この記事では、公文書改ざんに関与させられ、自ら命を絶った財務省職員・赤木俊夫さん(享年54歳)の遺書を、妻である赤木雅子さん(54歳)から独占入手し、その全文を公開しました。この報道は、森友学園問題の再燃と政治問題化に大きく貢献し、相澤氏はその後、雅子さんとの共著を上梓するなど、数々の賞を受賞しました。

森友学園問題の報道で知られる元NHK記者、相澤冬樹氏。今回の取材倫理問題の中心人物森友学園問題の報道で知られる元NHK記者、相澤冬樹氏。今回の取材倫理問題の中心人物

森友問題は現在も動きが続いており、今年1月には大阪高裁が「森友文書」の開示を認める判決を下しました。相澤氏もこの開示後、引き続き「週刊文春」に記事を寄稿し、問題の追及を続けています。しかし、こうした彼の報道活動の裏側で、今回報じられた倫理的な問題が浮かび上がったことは、大きな波紋を広げています。

内縁の妻が語る「禁断愛」の告発

今回の疑惑を告発したのは、相澤氏と2022年まで約3年間にわたり内縁関係にあったという中国籍の李美琳さん(仮名、30代)です。李さんは「取材対象者と身体の関係を持ちながら、それを秘密にして平然と記事を書いてしまう。非常識な記者への怒りが未だに収まりません」と、週刊新潮の取材に対して強い憤りをあらわにしています。

李さんは20歳で来日し、大学卒業後に日本で就職。2019年9月に相澤氏と交流が始まり、その2カ月後には同棲生活をスタートさせました。李さんの証言によると、交際当時、相澤氏には既に奥さんがいましたが、「離婚調停が成立すれば入籍する」と約束されており、それを信じて李さんは人工授精などの妊活まで始めていたといいます。二人の間には、事実上の夫婦生活が営まれていました。

取材対象者との関係に生じた亀裂

二人の事実上の夫婦生活が始まった時期は、まさに相澤氏が週刊文春で赤木さんの遺書を公開し、森友問題が政治的に最も注目を集めていた時期と重なります。相澤氏が取材に没頭するにつれて、彼のプライベートな領域にも赤木雅子さんの影が色濃く見え隠れするようになり、李さんとの間には諍いが絶えなくなっていきました。

李さんは、赤木雅子さんが自身の存在を「目障り」に感じていた可能性を指摘しています。そして、2022年8月には、事実上のハネムーンであった旅行先で相澤氏と口論となり、そこから2週間近く会えない状況が続いたといいます。この期間中、李さんは相澤氏がホテルで赤木雅子さんと「2度も不貞関係を持っていた」ことを告発。帰宅した相澤氏の様子に異変を感じ、彼のスマートフォンを確認したところ、男女の関係を示すメッセージを発見したと主張しています。この疑惑は、公的な報道の裏側にある個人の倫理と信頼性という、メディアが常に問われるべき重要な問題提起となっています。

ジャーナリズムの信頼性と取材倫理の重要性

相澤冬樹氏に対する今回の「週刊新潮」による報道は、彼のジャーナリストとしての功績とは別に、取材倫理の厳格な遵守がいかに重要であるかを改めて浮き彫りにしています。報道の信頼性は、情報そのものの正確性だけでなく、情報を収集する過程における記者の行動規範によっても左右されます。特に、森友問題のような社会的な影響が大きく、複雑な政治問題においては、記者が取材対象者との間に不適切な関係を持つことは、報道の客観性や公正性を著しく損なう恐れがあります。

今回の疑惑は、ジャーナリズムが直面する現代的な課題、すなわち、情報提供者との適切な距離の保ち方、そして個人のプライバシーと公共の利益のバランスといった問題を提起しています。読者がメディアから信頼できる情報を得るためには、記者一人ひとりが高い倫理観を持ち、透明性の確保に努めることが不可欠です。この問題の今後の展開は、日本のメディア界における取材倫理のあり方を再考する契機となるでしょう。


参考文献