モルドバが新年早々、エネルギー危機に直面しています。ロシア国営ガス会社ガスプロムが、モルドバへの天然ガス供給を2025年1月1日から停止すると発表したためです。この供給停止は、モルドバのエネルギー安全保障に深刻な影響を与える可能性があり、EU加盟を目指す同国の将来にも影を落とすことが懸念されています。
ロシアのガス供給停止の背景：債務問題と政治的圧力
ガスプロムは、供給停止の理由をモルドバ側の過去の供給に対する未払いだと主張しています。しかし、モルドバの首相は、国際的な監査で債務は無効と判断されたと反論し、ロシアがエネルギーを政治的圧力に利用していると非難しています。
モルドバの火力発電所
モルドバはエネルギー供給の大部分をロシアからの天然ガスに依存しており、この供給停止は同国のエネルギー安全保障にとって大きな打撃となります。火力発電が主要な電力源であるモルドバでは、ガス供給停止は大規模な停電を引き起こす可能性があります。
非常事態宣言発令：モルドバ政府の対応
エネルギー危機の深刻化を受け、モルドバ議会は2024年12月16日から60日間の非常事態宣言を発令しました。政府は代替エネルギー源の確保や省エネ対策など、緊急対応策を講じています。
EU加盟への影響：エネルギー安全保障の重要性
モルドバはEU加盟を目指しており、2024年11月にはEU加盟を支持するサンドゥ大統領が再選されました。しかし、今回のガス供給停止は、モルドバのエネルギー安全保障の脆弱性を露呈し、EU加盟への道のりに課題を投げかけています。
EUは、加盟国候補に対してエネルギー安全保障の強化を求めており、モルドバは再生可能エネルギーの導入促進やエネルギー効率の向上など、構造改革に取り組む必要があります。 エネルギー専門家である田中一郎氏（仮名）は、「モルドバは、この危機をエネルギー転換の契機と捉え、再生可能エネルギーへの投資を加速させるべきだ」と指摘しています。
今後の展望：国際社会の支援とモルドバのエネルギー政策
モルドバのエネルギー危機は、国際社会の支援が不可欠です。EUはモルドバへの財政支援や技術協力など、様々な支援策を検討しています。 モルドバ政府は、エネルギー供給源の多様化や省エネ対策の強化など、長期的なエネルギー政策の転換を迫られています。
今回のガス供給停止は、モルドバにとって大きな試練となりますが、同時にエネルギー政策の転換を加速させる契機となる可能性も秘めています。 モルドバがどのようにこの危機を乗り越え、EU加盟への道を進めていくのか、今後の動向が注目されます。
