ドイツ連邦選挙を目前に控え、米実業家イーロン・マスク氏の発言が波紋を広げている。極右政党「ドイツのための選択肢(AfD)」への支持を表明したことで、ドイツ政府から選挙介入の疑いをかけられ、国内外から批判の声が上がっている。一体何が起きているのか、詳しく見ていこう。
ドイツ政府、マスク氏の発言を選挙介入と非難
ドイツ政府報道官は、マスク氏が自身のSNSであるX(旧Twitter)や新聞への寄稿を通じてAfDへの支持を表明したことを問題視。AfDは国内情報機関が右翼過激主義の疑いで監視対象となっており、一部はすでに右翼過激主義と認定されている政党である。マスク氏の発言は、このような政党への投票を勧めるものであり、連邦選挙への影響を及ぼそうとする意図があると非難した。
alt ドイツ国旗とX(旧Twitter)のロゴ
政府報道官は、マスク氏には表現の自由があると認めつつも、その自由には「限度がある」とも強調。今回の発言は、その限度を超えたものと判断したようだ。
野党からも批判の声、メルツ党首「押し付けがましく、傲慢だ」
野党・キリスト教民主同盟(CDU)のメルツ党首も、マスク氏の発言を「押し付けがましく、傲慢だ」と批判。次期首相候補として有力視されているメルツ氏の発言は、国民への影響力も大きい。
ドイツの政治評論家、ハンス・ミュラー氏(仮名)は、「マスク氏の発言は、ドイツの民主主義プロセスを軽視していると言えるでしょう。AfDへの支持表明は、極右勢力の伸長を後押しする可能性があり、社会の分断を深める危険性も孕んでいます」と警鐘を鳴らす。
マスク氏の発言の真意は?今後の影響は?
マスク氏はなぜAfDへの支持を表明したのか、その真意は定かではない。しかし、彼の発言がドイツ社会に与える影響は小さくはないだろう。今後の展開に注目が集まっている。
alt イーロン・マスク氏の肖像写真
今回の騒動は、ソーシャルメディアの影響力の大きさを改めて示すものとなった。情報発信者には、その発言の責任を自覚し、社会への影響を考慮した行動が求められると言えるだろう。