韓国南西部、全羅南道の務安国際空港で発生した痛ましい旅客機事故。179名もの尊い命が失われたこの悲劇を受け、事故原因の究明が急ピッチで進められています。済州航空の旅客機は胴体着陸を試みるも減速できず、滑走路をオーバーランし、その先に設置された土手に激突、炎上しました。この土手が事故の被害を拡大させた可能性が浮上し、議論を呼んでいます。
滑走路先の土手:安全対策か、危険因子か?
滑走路の端から約250メートル、高さ約2メートルの土手。航空機の着陸を誘導するローカライザーの土台として設置されています。航空機の安全な着陸を支援する重要な役割を担う一方で、今回の事故では、まさにその土手が旅客機の激突地点となり、被害を拡大させた可能性が指摘されています。
務安国際空港の滑走路先に設置された土手
一部の航空専門家は、「土手がなければ、これほどの大事故には至らなかったかもしれない」と指摘。滑走路をオーバーランした航空機にとって、土手はまさに致命的な障害物となった可能性を示唆しています。
国際基準との整合性:国土交通省の見解
一方、韓国国土交通省は、土手の設置は国際基準に準拠していると主張。滑走路から最低90メートルを緩衝区域とする国際基準を満たしており、務安空港の土手に問題はないとの見解を示しました。また、同様の土手が米国やスペイン、南アフリカの一部空港にも存在することを明らかにしました。
専門家の意見:安全規定の再検証を訴える
しかし、航空安全の専門家であるキム・ヨンチョル氏(仮名)は、「国際基準を満たしているからといって、安全性が保証されるわけではない。今回の事故を教訓に、安全規定の再検証が必要だ」と訴えています。滑走路先の土手の設置基準、そしてその安全性について、改めて議論すべき時期に来ているのかもしれません。
事故の真相解明と再発防止へ
今回の事故は、航空安全における様々な課題を浮き彫りにしました。滑走路先の土手の設置基準、緩衝区域の妥当性、そして緊急時の対応など、多岐にわたる検証が必要とされています。徹底的な事故調査を通じて真相を解明し、二度とこのような悲劇が繰り返されないよう、再発防止策の構築が急務となっています。