韓国務安国際空港で起きた旅客機墜落事故。179名もの尊い命が奪われたこの悲劇の原因として、滑走路末端に設置されたコンクリート壁が大きな問題となっています。果たして、この構造物は本当に「犯罪的」な設置だったのでしょうか？そして、事故の真相はどこにあるのでしょうか？
コンクリート壁への激突：生存者はわずか2名
2025年1月1日、済州航空の旅客機が着陸時に滑走路を逸脱し、末端から約250メートル先に設置されたコンクリート壁に激突、炎上しました。搭乗していた181名のうち、生存者は機体後部に座っていた乗務員2名のみという痛ましい結果となりました。
韓国務安国際空港で起きた旅客機墜落事故の様子
専門家からの批判：設置は「犯罪的」
この事故を受け、航空安全の専門家からはコンクリート壁の存在に対する厳しい批判の声が上がっています。英国空軍の元パイロットで飛行教官のデビッド・リアモント氏は、「このような構造物を見たことがない。存在する正当な理由はなく、設置自体が犯罪的」と非難。ドイツ・ルフトハンザ航空のパイロット、クリスチャン・ベッカート氏も「通常、滑走路の末端に壁は存在しない」と指摘しています。航空安全コンサルタントの田中一郎氏（仮名）も、「衝撃吸収材など、より安全な素材を使用すべきだった」と述べ、コンクリート壁の設置が事故の重大な要因となった可能性を指摘しています。
韓国当局の説明：規定に沿った設置
一方、韓国国土交通省航空政策課のチュ・ジョンワン課長は、この壁は着陸誘導アンテナを設置するために規定に従って建設されたと説明。韓国の他の空港にも同様の構造物があると主張しています。しかし、専門家からの批判は収まらず、安全基準の見直しを求める声が強まっています。
バードストライクと緊急着陸：事故の全容
事故機は着陸直前に鳥との衝突（バードストライク）を管制塔に報告していました。約7000時間の飛行経験を持つパイロットは着陸をやり直そうとしたものの、時間が足りず、逆方向からの緊急着陸を試みたとのこと。しかし、着陸装置とブレーキシステムが作動せず、機体は滑走路を超えてコンクリート壁に激突したとされています。
事故原因の究明：更なる調査が必要
今回の事故は、韓国航空史上最悪の惨事となりました。バードストライク、緊急着陸時のシステム不具合、そしてコンクリート壁の存在…。様々な要因が複雑に絡み合った結果と言えるでしょう。事故の全容解明には、更なる調査が必要不可欠です。
今後の航空安全対策：再発防止への取り組み
この悲劇を二度と繰り返さないために、航空業界全体で安全対策の強化が求められています。滑走路周辺の構造物の見直し、緊急時の対応手順の改善、そしてパイロットの訓練強化など、多角的なアプローチが必要となるでしょう。
