近年、テレビ業界全体を大きく揺るがしているコンプライアンス問題。特にバラエティ番組においては、その影響は甚大で、かつての過激な笑いは姿を消しつつあります。視聴者からは「テレビがつまらなくなった」という声も上がる中、コンプライアンスと笑いの両立は果たして可能なのでしょうか? 毎週土曜日にフジテレビ系列で放送されている『芸能人が本気で考えた!ドッキリGP』(以下、『ドッキリGP』)は、まさにこの難題に挑戦し続けている番組です。
コンプライアンスは笑いを奪うのか?
「コンプライアンスのせいで表現の幅が狭まった」という意見はよく耳にしますが、『ドッキリGP』の総合演出を務めるフジテレビの中川将史さんは、この見方に異議を唱えます。「昔のバラエティ番組を今の価値観で見直すと、本当に面白いと思えるものは意外と少ない」と語る中川さん。時代と共に笑いの感覚は変化しており、コンプライアンスは単なる規制ではなく、時代の流れに合わせた自然な変化だと捉えているようです。
ミキの昴生さんが獅子舞に噛まれるドッキリ
笑いの本質を追求する「ドッキリGP」の信念
ドッキリ番組は、その性質上、コンプライアンス違反や行き過ぎた演出とみなされやすく、批判の的になりやすいジャンルです。『ドッキリGP』も例外ではありません。しかし、中川さんは、批判の声がある一方で、ドッキリ番組には存在意義があると信じています。
「番組を作る上での最大の目標は、視聴者に腹筋崩壊するほどの笑いを届けること」と語る中川さん。どんなに過激な演出でも、笑いに繋がらなければ意味がない。視聴者の反応を真摯に受け止めながら、時代に合わせて進化した“スパイシー料理”のようなドッキリを届けたい、という強い思いが込められています。
視聴者の心を掴む「ドッキリGP」の戦略
「ドッキリGP」では、視聴者の笑いを最優先に、様々な工夫を凝らしています。例えば、ターゲットとなる芸能人のキャラクターを深く理解し、その人に最適なドッキリを仕掛けることで、より自然で共感できる笑いを生み出しています。また、ドッキリの仕掛けだけでなく、その後のリアクションや出演者同士の掛け合いも見どころの一つ。時には感動的な場面も織り交ぜることで、単なるドッキリ番組を超えたエンターテイメントを提供しています。
ドッキリGPのロゴ
進化し続けるドッキリ番組の未来
コンプライアンスの波は、テレビ業界全体に大きな変化をもたらしています。しかし、変化は必ずしも悪いことばかりではありません。「ドッキリGP」のように、時代の変化を前向きに捉え、新たな笑いを追求する番組は、これからも視聴者を楽しませ続けるでしょう。 笑いのプロフェッショナルである番組制作者たちの挑戦は、これからも続きます。