韓国の政治的混乱が経済に暗い影を落としている。大統領の弾劾訴追案可決、非常戒厳令発令といった異例の事態は、ウォン安を加速させ、経済の不透明感を増大させている。本稿では、韓国経済の現状を「腐敗認識指数」の観点から分析し、今後の展望を探る。
政治混乱が経済に及ぼす影響
2024年12月、韓国政界は尹大統領による非常戒厳令発令で大きく揺れた。大統領夫人のスキャンダルや選挙不正疑惑などが背景にあり、国会は憲法違反として弾劾訴追案を可決。大統領は職務停止となり、政局は混迷を極めている。この政治的不安定性は、経済にも深刻な影響を及ぼしている。政策運営の停滞懸念からウォン安が進行し、経済の先行き不安感が高まっているのだ。
韓国ウォン紙幣
専門家の間では、誰が大統領になっても政財界の癒着構造は変わらない、経済格差は拡大する一方だという悲観的な見方が広がっている。フードビジネスコンサルタントの朴哲洙氏は「韓国経済は慢性的な構造問題を抱えており、短期的な政策では解決できない」と指摘する。
腐敗認識指数から見える韓国の実態
韓国では、血縁や学閥といった個人的なつながりが政治・経済に大きな影響力を持つ。これは「縁故資本主義」とも呼ばれ、韓国社会の根深い問題となっている。映画などでも、公務員と企業の癒着や不正蓄財を描いた作品が多く、現実を反映していると言えるだろう。
国際NGOトランスペアレンシー・インターナショナルが発表する「腐敗認識指数」は、各国の腐敗度合いを数値化したものだ。2023年のランキングで、韓国は32位(63点)。日本(16位、73点)、米国(24位、69点)と比較しても低い順位であり、政財界の癒着が深刻であることが示唆されている。
腐敗認識指数ランキング表のイメージ
経済評論家の李明博氏は「腐敗認識指数の低さは、海外からの投資を阻害する要因にもなりうる」と警鐘を鳴らす。
韓国経済の未来
今回の非常戒厳令発令は、韓国の政財界の癒着構造を改めて浮き彫りにした。大統領自身が自身の保身を図るために戒厳令を発令するという前代未聞の事態は、国際社会からの信頼を失墜させるだけでなく、国内経済にも大きなダメージを与えている。
韓国経済の将来を展望する上で、政財界の癒着構造の打破、透明性の確保は不可欠な課題と言える。今後の政局の動向、そして経済政策の行方に注目が集まっている。