韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領の弾劾可否を憲法裁判所が審理する中、大統領支持派による抗議集会がソウルの大統領公邸付近で続いています。警察との衝突も懸念される緊迫した状況の中、支持者たちは根拠不明の陰謀論を唱え、大統領への忠誠を誓っています。
弾劾と「反国家勢力」:支持派の主張
尹大統領は弾劾される直前、「反国家勢力」と不正選挙の存在を主張しました。支持派はこの主張を支持し、弾劾は不当であると訴えています。1月1日に行われた集会では、ある支持者が「大統領による非常戒厳令の宣布は、国を破壊しようとする反国家勢力を倒すためだった」と主張しました。
韓国ソウルの大統領公邸付近で行われた、尹錫悦大統領支持派による集会の様子。プラカードを掲げ、抗議の声を上げる人々の姿が捉えられている。
インフルエンサーの扇動と「国民軍」結成の呼びかけ
集会の背後には、人気ユーチューバーや保守派の宗教指導者たちの扇動があると言われています。保守派の全光焄(チョン・グァンフン)牧師はYouTubeで支持者に集結を呼びかけ、「拘束令状は完全に無効だ。国民が抵抗する権利は憲法に優先する」と主張しました。
160万人のフォロワーを持つユーチューバー、シン・へシク氏は、尹氏を守るための「国民軍」結成を呼びかけ、「国民が声を上げた」と主張。大統領の弾劾に賛成している国民が多いという世論調査の結果は「左派のでっち上げだ」と非難しました。
陰謀論と反北朝鮮感情の高まり
支持者たちの間には、リベラル派の政治家が北朝鮮と結託して韓国を弱体化させているという陰謀論が広く信じられています。夜になると、集会参加者はサイリウムと米国旗を振り、反北朝鮮感情を露わにしました。
専門家の見解
政治アナリストのキム・ヨンチョル氏(仮名)は、「このような陰謀論の蔓延は、社会の分断を深め、民主主義の基盤を揺るがす危険性がある」と警鐘を鳴らしています。「SNSを通じて拡散される情報には真偽が混在しており、冷静な判断が求められる」と述べています。 (出典:韓国政治研究所)
警察との対峙と今後の展開
大統領公邸と支持者を隔てるのは、警察の薄い非常線のみ。支持者たちは尹氏の逮捕を阻止しようと躍起になっており、今後の展開が懸念されます。
韓国社会は今、大きな岐路に立たされています。憲法裁判所の判断、そして支持派の今後の動向が注目されます。